あの子はかわいい。
ちょっぴり捻くれてて、意外とお喋りさん。
話を聞いてくれるし、必ず相槌を返してくれる。
全部に反応してくれるから、たまにいじわるしちゃう。
怒った顔もかわいいねって言ったら不機嫌になっちゃった。
許してね、一緒にいれる今が嬉しくて堪らないんだ。
いつだって君の幸せを願っているから。本当だよ。
テーマ『お気に入り』
誰もがみんな、栄光に焦がれ。
誰もがみんな、冒険の旅に出て。
誰もがみんな、戦って戦って戦って戦って……
──そうして才能が無いと諦めた。
それでもなお。
貴方だけはまた立ち上がって、
遂に成し遂げましたね。
それは誰でも簡単に目指せて、
誰でも気軽に名乗れたかもしれないけれど。
誇りなさい。讃えなさい。認めなさい。
貴方自身しか知らないその努力を。
他の誰も知り得ない苦難と挫折の日々を。
その末に辿り着いた今日という祝福の日を。
そう、貴方こそが真の「勇者」です。
テーマ『誰もがみんな』
花束が届いた。
差出人は未来の自分だった。
随分と柄にもない事を。
ひとしきり笑って、そのあと花瓶に生けた。
数日経ってドライフラワーを作り、壁に飾った。
きっと何年後かにこの花を見て、
あの日の自分に花束を贈るのだろう。
そしたら、笑ってやってくれ。
テーマ『花束』
いつだって、
笑える訳ではない。
それでも。
笑顔の方が素敵だと思うから。
さあ、笑おう。
鏡の前で口の端と端を持ち上げてスマイル。
なんだよ、情けない顔しやがって。
自然と笑みがこぼれた。
テーマ『スマイル』
英雄が帰還した。
人々は人類を救った彼を祝福し、
沢山の英雄譚が世に出された。
しかし、そのどこにも記されず、
最期まで語られなかった話がある。
それは、
人類を守るという大義の為等では決してなく、
愛する妻の遺したたった1人の愛娘の、
その笑顔を守る為に戦ったこと。
テーマ『どこにも書けないこと』