夜凪

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2/3/2024, 12:08:08 PM

長い時間眠って、
目覚めたら世界は様変わりしていて。

身内も居るわけないし、
退屈だったから、
酒場で出会った奴と行動を共にした。

そいつは感情が豊かで、
からかい甲斐があって。

退屈なんて感じる暇もないくらい、
毎日笑って過ごした。

人生に希望を見出せず眠りについたが、
なるほど。
1000年先も悪くないかもしれない。


テーマ『1000年先も』

2/2/2024, 10:47:13 AM

戦地へ旅立つ幼馴染に、
勿忘草の刺繍の入ったハンカチを渡した。
花言葉なんて興味のない人だったから、
きっとその意味には気づかないだろう。

少しだけ躊躇っていたけれど、
ちゃんと受け取ってくれた。

……お別れの前に、渡せて良かった。

後悔があるとするなら、
直接言えなかったこと。

〜〜〜〜

故郷へ残す幼馴染が、
勿忘草の刺繍の入ったハンカチをくれた。
鈍感な俺でもこの刺繍の意味くらいは知っているよ、
前に君が話してくれただろう?

未練を断ち切るつもりでいたけれど、
結局受け取ることにした。

……これでお別れなんて、後味が悪い。

後悔のないよう無事に帰って、
直接言わなければ。


テーマ『勿忘草』

2/1/2024, 11:17:35 AM

見渡す限りの草原に一台のブランコが立っていた。
風が吹けばブランコの錆びた金具がキィキィと鳴った。
古びたブランコに乗る人は誰も居なかった。

けれども、ブランコはちっとも寂しくなかった。
草原を渡る穏やかな風と、頭上に広がる美しい空があって。
ブランコを雨から守ってくれる優しい木と時折足をくすぐるイタズラ好きな花や草が居て。
ブランコはそれだけでとっても幸せなのだった。

今日も草原からはキィキィと幸せそうに笑うブランコの声が聞こえる。


テーマ『ブランコ』

2/1/2024, 3:24:13 AM

歩いてきた。
永遠にも感じる時の中を。
この旅に果てなど無いと思っていた。

走ってきた。
数多の挫折の上を。
強くなっていつか君を助けたいと思った。


手を差し伸べた。それは気まぐれだった。

その手を取った。君が1人にならないように。

手を離した。貴方の幸せを願っていた。

再び君へ手を伸ばした。幾つもの夜を越えて。
今度は離さないと強く強く握りしめた。


そうして今、
ここが旅の終着点なら

君が 貴方が

こうして隣で笑っている。
それだけでもう充分すぎるくらい

ハッピーエンドだ。


テーマ『旅路の果てに』