あの日、雨が降った日、僕が君に声をかけれてたら、どんな人生になってたかな。
僕はあの瞬間から、なんの引き金もなく、思い出してしまうことがある。君の孤独で寂しそうな目、綺麗な顔のはずなのに、それが分からないほど顔がグシャグシャで、こんなにも雨水を憎いと思ったことはないだろう。僕は人と話すことが苦手で、女性と話すなんて尚更だった。恥ずかしさで声が出なかったくせに、前へ進む足はどんどん早くなるばかり。振り返った時に見たあの横顔は、この先もずっと頭から離れないんだろうな。
なぜ泣くの?って聞かれたから、なんで泣かないの?と聞いてしまった。こんな簡単な一言で、君の視界から僕は消えてしまうんだから。
嗚呼、言葉って不快だ。
カッカッと、ハイヒールの足音。
コトッコトッと革靴の足音。
そのふたつが絡まる時、あなたには分からない、極上の音楽が聞こえる。
頭の中に流れるその歌は、ふたつの足音のダンスに優しく相槌を打ってるよう。
私はそれを、「夜の魅惑」と呼ぼう。
今日は何をしよう。ふと考える午前9時。
必ず毎日やってくるこの朝に、なんの意味があるだろう。外にはふわっと風1つ。緑を飛ばすあの風を、私は知っている。
いつものように、「いってきます。」
私の夏が今日も始まる。終わりのないこの夏に、私は何を求めるだろう。友情?愛情?分からないや。
でもあなたは知っている。終わりのないこの時にドアを開けて旅に出よう。
いつか必ず、「ただいま。」
遠くを見ると、僕の街には孤独な湖があって、それを暖かく囲む山脈を、大きな山が手を取って結んでいる。賑やかで古くさいこの街の僕らへ、常に勇気を与えているこの景色。
そんな景色は、この先も変わることは無いだろう。
街は良くも悪くも変化し続けるのに。
美しく世界を、宇宙を映す鏡の、さらに向こう。
僕らの生き様を静かに見届ける魂源の、もっと向こう。
まだこの星は若く、新しい。
見つけよう。変化を求める「僕ら」の、明るい未来を。
味わおう。「彼ら」が残した、古びた歴史を。
羽ばたこう。「君」が思う、遠くの空へ。