お題:胸の鼓動
鈍感な僕でもわかるほどに、心臓が脈を打つ。
頬が熱くなり息も苦しい。
ただひとつだけ、確信している。
僕はこの瞬間のために生まれてきた。
胸の鼓動が何度も僕にそう伝えてくる。
深く呼吸をする。
夏の空気が体には冷たい。
もう一度、呼吸を整えて君を見る。
「僕と結婚してください」
お題:踊るように
踊るようにゆきましょう。
流れる世界に身を任せ、口遊む歌にハッとしながら。
その行く先にあなたがいることを祈りながら。
お題:貝殻
貝殻を耳に当てて聴こえてきたのは、あなたの声でした。
くすくすと笑うあなたの声がどうして聴こえるのでしょう。
この貝殻はどこに繋がっているのでしょう。
きっとわたしはこの中に入ることはできないのでしょうね。
遠いあなた。誰も想像のできない遠くにいるあなた。
わたしはここで、あなたに会いにゆける日を待っています。
夜明けの水平線はやわらかい紫色をしていた。
お題:心と心
心と心がふれあうとき、なにが起きるんだろう。
夜空の星が降るみたいにきらきらなのかな。
海に沈むみたいに静かで苦しいのかな。
わたしは心を見たことがないから、よくわからない。
ご本を読んでも書いてないよ。
お母さんやお父さんも教えてくれないよ。
でも、もし、わたしの心にそんな日が来るなら。
ろうそくの火を分けあうみたいだったらいいなと思ったんだ。
お題:眠れないほど
眠れないほどに楽しみな明日が実在するとは。
心臓が熱を打ちだす。
手足がゴソゴソ動いてしまう。
まぶたを下ろそうにも力が入る。
冷たくて眠れない夜があなたのたった一言で180度変わってしまうのだから、不思議なものだ。
知らぬ間にゆるんでいた口元がおかしくて、心までたゆんだ。
布団を押しのけて電気をつける。
スマホで明日の天気をチェックしながら、クローゼットを開いた。