★ここではないどこか
体調を崩して実家に帰省している。
どっちかというと、身体というより、心の方が参ってしまって、体調不良はその弊害だけど。
数カ月経って、もう身体は元気に動けるようになったんだけど、心の傷はまだかさぶたみたいに残っている。ふとした時に思い出しては、自己嫌悪で死にたくなるし、他人を信じられなくなる。ずっと憧れていた場所が、トラウマになってしまった。
夜に外に出ると、よく地元の友達のことを考える。みんなここじゃないどこか遠くの場所で、今も一生懸命頑張ってるんだな、と思う。私だけが置いて行かれている現状に焦りつつも、もうどこか諦めている自分もいる。
やらない後悔より、やって後悔という言葉を信じてやってみたら、やらないほうがよっぽど良かったと思うほど後悔した。
だけどもう一度、勇気を出さなくちゃね。
もう大切な人たちの悲しい顔は見たくないから。
過去のことも未来のことも、一度考えると動けなくなってしまう。だから今、この瞬間だけを考えて生きる。
少し前に、野良猫と仲良くなったことがある。
夜に公園を散歩していたら、茂みからニャーニャー聞こえて、近くに行ってみると細身のキジトラのネコがこちらをじっと見つめていた。
逃げる素振りはなかった。だから、怖がらせないように静かにしゃがんで、そっとからだを撫でてみた。猫は立ち上がって、私の足にからだをこすりつけてくれた。
正直運命だと思った。
こんなに懐く野良猫なんてそうそういない。
家で一緒に暮らしたいと思ったけど、家族が反対するのでできなかった。
だから、毎日その猫に会いに行った。
私がベンチに座ると、その子は膝の上に乗って寝てくれるようになった。こんな漫画みたいな展開あるんだって感動した。温もりを感じて、幸せだった。
ある日、猫が急に立ち上がって歩いていくので、私は不思議に思って後をついて行った。しばらくすると、一人お婆さんがやってきて、その途端猫が激しく鳴き始めた。私には見向きもせずに、お婆さんの元へ駆け寄っていった。
私は酷く傷ついて、そのまま家に帰った。
私は独りだったのに、あの子は独りじゃなかった。
私にとってあの子は特別なのに、あの子にとって私はそうじゃなかった。
私はまるで失恋したような気分になった。
私って、都合のいい女だったんだ、、。
でも気がついた。猫はもともとそういう生き物だった。マイペースで、どこまでも自分勝手。そこがチャームポイント。
だから私は、構わず次の日もその子に会いに行った。
最後に会ったのは、いつかの早朝。いつも暗い時間に会っていたから、新鮮だった。なんか気まずかった。あの子もそう思っていたかも。
私がいなくてもあの子は大丈夫なんだと思うと、次第にもう会いに行こうと思わなくなった。
私は、私だけを必要としてくれる存在が欲しかったんだと思う。結局一番自分勝手なのは私だった。
それにしても、あの猫は小悪魔な子だったな。まんまとトリコになっちゃったよ。今も元気にしてるといいな。
高校時代、通学路で1輪の花を見つけた。
コンクリートの道の端に、窮屈そうに生えていた。
鮮やかなピンク色で、生えてる場所も妙だから、やけに目を引いた。
なんだか写真を撮りたくなって、自転車を降りてスマホを取り出し、1枚だけ撮った。
次の日に通りかかると、その花はいなくなっていた。
私は少し悲しくなった。
子供の頃は、プリキュアを観るのが当たり前だった。
保育所の友達と、プリキュアごっこを沢山した。
キュアブロッサムのことをキュアブロッコリーと言って笑ってた。
そして私はいつの間にか、プリキュアを観なくなっていた。プリキュアは小さい子が観る幼稚なものだと思うようになった。
でも、そんな私がまた、プリキュアを観るようになった。約10年ぶりの再熱。
今観ているのは、GO!プリンセスプリキュア。
後期エンディングをたまたま聴いて、その曲が好きすぎて観始めた。『夢は未来への道』という曲。
この曲はプリキュア一人ずつのバージョンがあって、一部の歌詞がそれぞれのキャラで違う。そこの部分が本当に好きで、何回も聴いてしまう。一番好きなのは、
“どの過去も 生きる チカラに
わたしの炎 誰も 消せない” という歌詞。
彼女の生き様を現しているとても良い歌詞だと思う。
そして、変身シーンもまた凄く魅力的。
ドレスアップが終わったあとのお辞儀(お姫様がやるような、ドレスの両裾を持ってするお辞儀)で、お花がブワーッと舞って、それが本当に綺麗でいつも見惚れてしまう。
プリキュアを観ると、安心する。子供の頃に戻ったような心地よさがある。健気に頑張る主人公たちから、力を貰える。心が疲れた大人たち、プリキュアを観なさい!
最近、メルカリをするのが日常になった。
初めは緊張した。
恐る恐る、家にあった要らないものを出品してみた。
そしたら、結構すぐに売れた。
凄くテンションが上がった!
引きこもりだから、社会との繋がりを感じられて嬉しかった。
自分の存在を認められている感じがした。
それに、新しい気づきがあった。
私は梱包するのがとても好きだということ。
なんで好きなのか言葉にするのは難しいけど、これを仕事にしたいと思うくらいには好き。
久しぶりに、生きている心地がした。
売上金で、ガチャガチャの可愛いキーホルダーをいくつか買った。
もうすぐ届くので、とても楽しみ。