秋の晴れた日の夕方の空気からは儚さを感じる。あの空気には少しだけ冬の匂いが感じられて、それを吸うと秋が一瞬であり、そう長くは続かないことが予感させられる。

時折見られる、薄い雲の後ろに隠れた月が好きだ。普段よりも更にやわらかい光を放ち、その前を雲がゆっくりと形を変えながら流れてゆく、ずっと見ていても飽きない月だ。

ブランコで初めて漕げるようになったとき、凄く嬉しかったことを覚えている。漕げば漕ぐほどブランコは高く上がって行って、そこから見える景色とか体に当たる風が昨日までとは少し違っていて、まるで新しい世界に来たような心地だった。

昨日部屋にいる時ふと視界の端に光輝くものが映って、なんだろうと思って光の方へ顔を向けたら、カーテンの隙間から覗く月だった。それがまるで小説の一場面のようで、凄く文学的な月に見えた。

「いや、雨だよ」ってやつやりたいけど機会がない。