幼い頃
ジャングルジムの上に登り
めいっぱい手を伸ばして
太陽を取ろうと頑張ったことがある
空に眩しく輝くお日様が
どうしても欲しかった
もっと高くないと取れないのかと
高い場所を探したっけ
そのうち取ることなんてすっかり忘れた
あんなに欲しかった太陽は
今ではお肌の天敵
なんで取れると思っていたのか
我ながらお馬鹿だったなーと笑ってしまう
「太陽」
何時の記憶だろう
高く澄んでよく響き渡る音
涼やかな風が吹き抜けていき
真っ青な空に高台から見下ろす広大な海
よく映画やアニメに出てくる
鐘の音とは違う心地よい響き
たまにふとその音が心に響いてくる
おかしなことに
そのような土地に行った記憶はない
記憶もあやふやな幼い日なのか
それよりもずっと遠い日なのか
ただ その鐘の音を思い出す時は
心を落ち着かせたい時
「鐘の音」
いつもと変わらない日々が繰り返される
季節は巡り 花は変わっても
生活の行動は変わらない
着る洋服が薄着か厚着になるだけだ
考えることは夕食のおかずくらい
ただひたすらに死なないために動いている
何か無我夢中に取り組める事でもあればいいのだが
それすらもこれといってない
楽しみと言えば
たまに買ってくるコンビニスイーツくらい
こんなはずではなかったのにな
そう思ってしまう今日この頃だ
「つまらないことでも」
まだ静かな時間
もう身体が慣れてその時間には目が覚める
もぞもぞと布団の誘惑に負けそうになりつつも
仕方なく起き上がる
さて 今日はどうしようか
冷蔵庫を除きつつ考える
前日のうちに決めておけばいいのだろうけど
あるものでいいやとなってしまう
数少ないレパートリーからチョイスしていく
もうおかずストックがないな
また作り置きしとかないと・・・ など考えつつ
その日のお弁当を仕上げていく
お弁当ができる頃には皆起きてくる
「おはよう」
今日もなんでもない一日が始まる
「目が覚めるまでに」
白い壁白い天井白いカーテン
私とベットとテレビしかない空間
自分が生命の危機という実感はなかった
とにかく何もするなとだけだった
文字のある書物は駄目
歌詞のわかる音楽は駄目
面接さえも極力駄目
唯一部屋にあるテレビも駄目
勿論 食事も病院から出るもの以外は駄目
それに加え何も考えないでとさえ言われてた
言葉を聞くと考えるから血圧が上がってしまうんだそうな
強い光も駄目とのことでカーテンも閉まってる
只々ぼーっとしてる
呼吸して心臓が動いていればいいのだ
なぜこんなことになったんだろう
考えたらいけないと言われていても
それしか考えられなかった
ある日これ以上は危険と言われ緊急手術
気が付くと自分がいた病室のベットだった
これでもかという痛みとの格闘
それでもこれでここから出られる
その事が本当に嬉しかった
「病室」