嵐が来ようとも、
嵐に飲まれようとも、
私が貴方から離れることなんてないんだから!
だってまだあなたの口から聞いてないもの。
そう、あいしてるって。
終わったあとにはきっとなにも残ってない。
ヨーヨーはしぼんで、金魚はしんで、
射的の景品はどっかに行っちゃった。
あの時のどうしようもない切なさだって、
今の自分には残ってない。
願わくば、来年もこの気持ちを味わえるように。
今日もまぶたを閉じる。
神様、もしくは誰かが舞い降りてきてこう言った。
"なんでそんな急ぐんだよ"
そりゃ、そうだろ。仲間がピンチなんだから。
"そうじゃない、なんですぐ向かうんだよ"
間に合わなかったら申し訳無いだろ。
"埒が明かない。いいか、よく聞け"
"今この瞬間、仲間を無謀にも助けにいくなら、
俺達の命は燃え尽きるだろう。"
だからなんだよ。それでも助けに行かないと、
あいつが飛ばされるだろ、
"よく見てみろ。椅子ゲージは何割だ"
ゲージ、5割…?
"5割救助は駄目だろう?"
そういえば、そうだった。
"それに見てみろ仲間のチャットを"
暗号機残り2で、91%、31%⋯
初心者の俺達には厳しいけど、
9割救助で、即通電。
危機一髪は持ってる。
箱から拾った信号銃も。
"勇気を出せ、プレイヤー。俺達なら行ける"
9割。いまだ!
恐怖の一撃は出なかった。
仲間を助けた瞬間、ヴゥーと音が鳴り響いた。
肉壁をしながらゲート近くの板に滑り込む。
ハンターは飽きたのか反対ゲートへ飛んで行った。
仲間を一応最後までかばいながら、
先にいくよ!
結果は4逃げ。完全勝利。
やった… "よっしゃあ!"
"お疲れ、プレイヤー。"
おつかれさま。
俺、決めた。
ピースが溜まったら必ず君を荘園に招待する。
"おう、楽しみにしとくぜ。"
が にいいねしました。
identity 5 第五人格
劣等感を持つのは当然だ。
同い年で、同じ性別で、成績も同じくらいで、
身長も体重もほぼ一緒。
俺の方が身長高いけど。
話は変わるけど、俺は親ってものが嫌いだ。
良い親だろうが悪い親だろうが、
親って生き物が子どもを産んで育てるのが、
気持ち悪くてたまらない。
生まれてきてくれてありがとう。
そんなこと言われるやつはきっとひと握り。
俺はそのひと握りじゃない方。
だってそもそも、
親ってのは、自分が優位にたってると思い込んでる。
親ってのは、自分が絶対的に正しいと思ってる。
いやもちろん、感謝はする。
あなた達の大切なお金を食って育ってきました
お金をかけてくれて本当にありがとう
あなた達のお金のおかげで俺になりました。
本当にありがとうございました。
別に愛されなかったわけじゃない。
彼らの愛がお金だったってだけ。
ただちょっとだけ、
本当の恵まれた家庭を見てしまっただけ。
同い年のあいつの家は、
怒鳴られることも無く、
目覚まし時計を寝ている時に落とされることも無く、
お金を勢いよく投げてくることもなく、
鼻息荒く大きな音をたてて歩く人も無く、
なにより、
なにより家族みんなが笑顔だった。
ああ、
ああいうのを、「オヤ」って言うんだなって。
ずっと、俺は信じられなかった。
同級生のみんなが、親のことを好きだと言えること。
もちろん、もちろん俺も好き。
でも近くに居ると泣きたくなって、
何被害者ぶってんだって、
叫ばれるのはちょっと嫌だけど。
親孝行って何?
親に感謝するのが義務なの?
親嫌いなんだ〜まあよくあるよねって
ちっとも話を聞いてくれないのは、
きっとあいつが家庭に恵まれているから?
同い年で、同じ性別で、成績も
身長も体重も全部抜かされて。
挙句の果てに笑顔の家族がいる家。
ここでだしゆるしてほしい。
一つだけ、彼に悪口を言わせて欲しい。
きっと見つかったら嫌われるんだろうけどもう無理。
お前は、ずるいよ。
神様だけがしっている。
セイカクにはあのこだけが。
あのこは神っちゃ神だが、
神じゃないっちゃ神じゃないらしい。
シンコウってやつとヒレイ?するらしい。
で、なにをしっているかというと、
わたしにはすこしわからないけど、
セカイがほろびたゲンインらしい。
しらないことばばっかりだけど、
学コウで習ったから、神って字はわかるよ!
えらいね、とあのこがなでてくれる時間がすき。
それでも、
それでもわたしは、
おばあ様のオネガイゴトをかなえなきゃいけない。
このやさしいやさしいこの神様を、
わたしの手で、
まだ、かんがえたくない。
もうちょっとだけ。
わたしがセイジンするまでは、
そばにいてくれないかな。