誰もいない教室9/7
放課後、忘れた筆箱を取りにやってきた、教室。
そこには、当たり前だが、誰もいない。
数時間前まで、あんな騒がしかった教室は、今は、不気味なほど静かで、伽藍堂だ。
みんなが
勉強したり
走り回ったり
怒られたり
遊んだり
食べたり
喋ったりしていた教室は、まるで、知らない場所だというように、
伽藍堂だ。
筆箱を取って家に帰ろうと、廊下を歩く、あんなに足音がうるさかったのが、嘘みたいに静かだった。
誰もいない教室は
誰もいない学校は
不気味なほど静かで伽藍堂だ。
信号9/6
今日も僕は、信号待ち。
信号待ちでよく会うあの子。
自転車を乗りこなしていて、どこかかっこいいあの子はとは、同じ信号を待つだけなのに
どこか気になってしまう。思い切って、「また会いましたね」とでも言ってみるか。
あの子の横顔を見据える。その目は、信号で現すと、黄色だ。やめておこう。
次の日も会った。また、横顔を盗み見る。
今日は緑だ。
「あの、、また、会いましたね。」
声をかける。
「そうですね」
とあの子は言った。
今日も僕は、信号を待つ。
言い出せなかった「」9/5
ありがとう
なんでよ
おはよう
バイバイ
大好き
今は言えない人の方が多い
今日は、それにまつわるお話。
「お母さん、大好き!!」
「シオリちゃん、大好き!!」
「ポチ、大好き!!」
今は絶対言えない。
シオリちゃんが、転校でもしなければ、
言い出せなかった「ありがとう」
言い出せなかった「なんでよ」
言い出せなかった「おはよう」
言い出せなかった「バイバイ」
言い出せなかった「大好き」
今日は絶対言える。
言い出せなかったに背中を押されて、僕は、シオリの家に向かう。
ページをめくる9/3
「あれ?ここは?」
目覚めると、見知らぬ図書館だった。
上の方には、『人生図書館へようこそ』と書かれている。上から下まで本棚でいっぱいだ。一冊を手にする。題名は、『本田シオリ』だ。誰かの名前みたいだと思った。最後のページを見ると、こう書かれてい
た。『「もう!!最っ低!絶交しよ!」』
ここで終わり?嘘でしょ!?と思ったが、新しく文字が浮かんでくる。『小石を蹴飛ばして家に帰る間にも、後悔は頭を離れない。なんて事言っちゃったんだろう。明日どう顔を合わせればいいんだろう。
ああ、あんな事、言わなけりゃ良かったなぁ。』
そこで私は本を閉じた。
ジリリリリ、ジリリリリ。
ああ、なんだ、夢か。
今日も私は生きてゆく。人生という名の。
本のページをめくるように。
夏の忘れ物を探して9/2
夏が終わった。
あっという間に終わった。
なのにまだ暑い。
でも学校は少し、ほんの少し、これっぽっち楽しみだ。
冬がやってきた。
あっという間にやってきた。
もう寒い。
もう夏の暑さは忘れてしまった。
浮き輪も、アイスも、花火も、全部、全部。
忘れてしまったよ。
でも探しに行かなくてもいい。
そもそも探したって出てこないから。
大丈夫。
夏に置いてきた忘れ物は
いやでも半年経てば出てくるよ。