年が暮れていく。
一週間の今年を残して始まる冬休み。
今年の思い出に想いを馳せながら、もう手に届かない目標を横目に過ぎ去る時間をだらだら過ごすだけで新しい年になる。
何をしなくても訪れる新年を、どんな気持ちで迎えよう。
#冬休み
泣かないで、かわいい吾子よ。
過去も未来もなく、ただ今この一瞬だけを全力で生きる君よ。
君の一秒一秒が幸福に満ちた時間であれと願いながらその小さな身体を抱き上げるこの限られた時間は、私にとっても限りない幸福の瞬間なんだよ。
泣かないで、かわいい吾子よ。
君の笑顔を一分一秒でも多く見ていたいんだ。
#泣かないで
少しだけ身体が熱い。
ズル休みする気にもならないくらいの。
誰かに不調を訴えるほどでもないくらいの。
私の中にある、私だけの、この、微かな熱を。
私はこの僅かな時間、少しばかりもてあましている。
私以外の誰のものにもならないのに。
#微熱
いつだったか、母にとって私はどういう存在なのかを尋ねたことがあった。宝物だと、母は答えた。宝物って具体的にどんなものを指すのか、母にとっての宝物ってどのくらい大事なものなのかよくわからなかった。
そんな母とは今では折り合いが悪く、数年に一度連絡を取るくらいになってしまった。
今では私にも子どもがいる。子どもから同じ事を尋ねられたとき、私はなんて答えられるだろう。
#宝物
「そんなこと意味ないじゃない」
あなたはそう言う。
「そうかもね」
わたしはそう言って笑う。
わたしとあなたの会話はいつだって蛇行する川のようにあっちにいったりこっちにいったりと忙しない。あなたに少しでも多く笑って欲しくって、わたしはいつも遠回りを選んでしまう。あなたは不機嫌そうに眉を吊り上げながらも、結局はわたしに付き合ってくれる。
あと十年もすれば、二人で過ごしたささやかな時間のことなんかもうすっかり忘れてしまっているのかな。こんなに大切な気持ちがいつか価値を失ってしまうのかな。
決して口にはしない言葉たち。あなたはなんて答えてくれるだろう。
#意味がないこと