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10/4/2025, 2:47:32 AM

「誰か」

誰かの優しさが一人の心に響き
一人の優しさがもう一人の心を温める

二人が心を寄せていると
誰かが「入っても良い?」と
声をかける

三人が話していると
もう二人がやって来て
賑やかな会話になった

最初の一人の優しい声かけが
落ち込んでいた心を助け
その輪が広がった

一人の行動は
小さく見えても
誰かの心に火を灯す時
それは、ささやかな灯火になる

心を温めるには
人と話すのが良いらしい
優しい人との会話は
癒やしになる

10/2/2025, 9:27:30 PM

「遠い足音」

その時期、私は恋をしていた
アパートでひとり暮らしをしていた頃
2つ離れた部屋の男性に

始まりは
私のいる部屋の前で
偶然会って挨拶した時だった

彼はスーツを着て
出勤するところだった
私も出勤するところで
朝、一緒にエレベーターに乗った

エレベーターの中で
私は話しかけてみた
「出勤前ですか」
「そうなんです」

それ以来、アパート付近で会ったり
アパートで鉢合わせすると
少し話をするようになった

私は部屋にいる時も
彼を意識し始めた

あの足音は彼だ
今日は日曜日だから趣味の
サイクリングかな

私は片想いが好きだ
両想いになると恋の魔法が解けて
幸せがどんどん減っていくカップルと
ある幸せをずっと温めて
大事にしていくカップルと分かれると思う

私は恋愛は好きだったけど
付き合うようになったら
一緒にいる事に慣れてしまい
減点式で恋の気持ちが目減りするのは
辛かった

片想いでいい…
そう思うようにもなっていた

そんな日の朝
私は早く起きてしまい
時間を持て余した

外に出て
ベランダから昇る朝日を見ていた
朝の綺麗な空気は新鮮で美味しい
私は目一杯空気を吸った

すると
「○○さん、○○さん」
どこからか私を呼ぶ声がする

「おはようございます」
2つ先の部屋の彼もベランダから
起きていたらしい

「綺麗な朝日ですよね
 今朝は早く起きちゃって」
「僕もなんですよ
 早く起きてしまいました」

二人で見た朝日は
いつもと変わらない朝日だったけど
私には特別な朝になった

私は何だか
彼を好きな気持ちを閉じ込めておく
自信が急になくなった

好きな気持ちが目減りしてもいい
そんな気持ちにもなった

その日の朝は念入りにメイクをした
彼に告白する為だ

その日の朝
二人で駅まで歩いた
そして、LINEを交換して
私は言った

「ずっと前から好きでした」
「僕も好きでした
 お付き合いしてください」

10/1/2025, 9:54:13 PM

「秋の訪れ」

その年の夏は異常に暑かったから
夏から秋への季節の移行
秋の訪れは本当に喜ばしい事であった

ラジオでかかる曲も
夏の終わりを思わせる曲
秋が始まる曲が多くなった

コーヒーの苦味や
栗やサツマイモの甘さ
食べ物の味がグッと美味しく感じる

空を見ても
細い雲が芸術作品のように
形を作っていたり
秋らしい雲は
美しいなと思う

秋はいい季節である
気温も涼しくなり
外を歩きたくなる
スポーツをするにも
いい時期だ

遠出して旅もしたくなる
遠くからの秋の便りに
私は秋を感じている

9/30/2025, 9:24:06 PM

「旅は続く」

どんなに嫌な事があっても
どんなに生きるのが嫌になっても
人生と言う旅は続く

嫌な事が多く
嫌な言葉が氾濫していても
生きていく事実は変わらない

しかし、過去を振り返ってみると
自分にとって嫌な時期が
一番自分と向き合い
成長していたなと思う

今日も嫌だなあと思いながら
毎日起きているけど
今朝、窓を開けたら
朝日が差し込んできた

それでも朝日は昇る
新しい一日だ
その事実が私を励まし
今日を生きるのだった

9/29/2025, 9:38:20 PM

「モノクロ」

私が人の目を気にして恋愛をしていた頃
人に気に入られる事を気にしていた頃
この世界はモノクロで
黒と白としかなかった

正解か否か
合ってるか合ってないか
気に入られるか気に入らないか
好きか嫌いか
外れてしまうと
嫌われてしまうと思った

その人が全てになり
世界は2極化した

モノクロの世界は息苦しかった

そんな私が色を取り戻しつつある
あの人の悪口を自由に言えるようになり
自由に泣けるようになって
いつの間にか笑えるようにもなっていた

この世が2極化していた頃の価値観は
結局は自分らしさを失う事になった

一人になり
自由に感情を安心して出せるようになって
私はやっと笑顔を取り戻した

長い雨の後に
雲の隙間から
太陽の光が地面を照らしてゆくように

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