【ところにより雨】
他人事に聞き流したお天気お姉さんの言葉
耳だけ覚えてて
よりによってここかと思い出す
私の頭の上にだけ雨雲があって
どこに行っても引っ付いてくる
そんなアナ雪みたいな世界線を彷彿させる
それくらい私が居るところはいつも晴れなくて
お天道様とは目が合わない
きっと誰もがどこかの誰かの他人事で
「ところ」の私なんて見えてない
ちっぽけな私の雨雲に気づくのは
衛星画面を目を凝らして見てくれた
今朝のお天気お姉さんだけ
そんなつもりなくても
いい加減冷えきってしまうから
どうか芯まで心まで冷える前に
目には見えないどこかの
あなたの温もりを感じたい
まさかあなたも
「ところ」ではないことを願って
【タイムマシーン】
変えたい過去は沢山あるけど
それがあったから今がある
も一度同じ経験なんて願い下げだ
だったら過去のままそっとしときたい
未来の自分は未知すぎて怖いけど
それを知るのはもっと怖い
未来の決定権は良くも悪くも今の自分だ
だったら知らないままでいたい
昔の自分が 未来の自分が
今の自分を見たらどう思うかな
いつになってもこいつは変わんねーなとか思うのかな
見たくないもん見ちゃったとか思うのかな
向き合わないと痛い目見るのは自分だけど
向き合いすぎて今がおろそかになる時もあるよね
死後の世界、産まれる前の世界
その立ち会った瞬間瞬間が起因となってて
その瞬間を作ると思うと
壮大すぎて怖いが勝つ
ドラえもんってたまにそういうの考えさせられる
夢ないかよって笑われそう
どの時代でもおもろそうではあるけど
【何でもないフリ】
所詮心は目に見えないから
私たちは目に見えるものしか知り得ないのだから
どれだけ抗っても
どれだけ目を背けても
どれだけ逃げても
どれだけ叫んでも
今日ここにいるという事実は昨日と変わらない
同じ場所に集いし者が
同じ条件下で課せられる
そこに在るか無いか
シンプルな2択で
ナニカが『在るか無いか』が判断される
その記号しか誰も見ようとしないのだから
中途半端に頑張った貴方は
在る事実だけで存在が成り立ってしまう
決して隠している訳では無いけど
見せている訳でもない
結果誰の目にも止まらぬのならば
それは『フリ』とでも呼ぶのだろうか
仕方ないだろう
なんでも ある と見せるほど
そんな余力は残っていないのだから
【部屋の片隅で】
誰も入ることの無い自分だけの孤城
このまま外の世界から存在が消えて
部屋の壁と同化して
すっと世界から居なくなれたら
なんて
1度はしたことはある妄想
今日も部屋の一角の世界で
一日が終わる
【太陽の下で】
特に意味なんてないけど
いつの日からか避けてきた
あんなにも眩しくて
温かくて
濁りない光に
直接触れることなんて許されない気がした
コケまみれの私は
きっと駆逐されてしまう
だったら私は
嗅ぎなれたカビ臭さの立ち込めるこの空間で
深く息を吸いたい
一度触れたらもう最後
きっと私は次の雨には耐えられないのだから
日向によく似合う少女の無垢な笑顔を見て
いつか私も
心の底からあの光に包まれたい
なんて
過去の姿に夢を馳せる
なんて愚かな行く末
草花の匂いが立ち込める
世界がまるごと洗われて
天日干しされる感覚が
ふと、蘇る