【もう一つの物語】
一つどころじゃない
もしこうしていたら
あれをしなければ
なんて腐るほどある
でも
存在しない未来もない
未来は全て決まっていて
私たちは自分で選んでいるようで
全ては定められた命運
とも私は思わない
未来は私の選択で変わる
それは確かな事実だ
あなたの選択で私の未来が変わる
私の選択であなたの未来が変わる
自分の命運が誰かに握られた時
それで人のせいにできるなんて甘えるのも愚かだ
未来の選択は
たとえそれが
朝起きるか二度寝するかなんて小さな選択でも
ひとつの重い大事な選択
繰り返される日々の中で
その重圧から逃げた気になっているだけ
だから
運命とか宿命とかそんな無責任な言葉で終わらせない
全ての事は
私が選んだ私だけの大切な“使命”
わたしが生きる世界は
使命という選択に満ち溢れている
わたしのもう、「ひとつ」の物語
それは究極の二択
今、わたしが息をしていない世界
なのかもしれない。
【暗がりの中で】
[ひかり]
ただ盲目に
在ると疑わなかった
目の前に広がる世界
たった一点が
歪んで見えた
ただそれだけで
全てがどろけて跡形もなくなった
今の僕には
在るはずのものも何も見えない
物体を反射し眼に届ける
大事なものが存在しない
前かも後ろかも分からぬままただただ進む
なんて大層な言葉で表すのも笑えるくらい
愚かに彷徨い放浪する
ふと
風を感じた
目には見えぬ
素敵な気が
すうっと首を包み
あまりに小さなその肩に
少しずつ
僕の身を纏う気流を移し替える
それは僕じゃなくて
でも僕の足が連れてきた場所
生かす
ただそこに在る影を信じて
【紅茶の香り】
日々の喧騒から解き放たれた
土曜の少し遅めの朝
優雅な自分を着飾りたくて
少し冷めた紅茶を啜ると
懐かしさが香った
ストレートティーにガムシロ4つ
糖尿病になるよと言いながら
君に渡したいつかの朝
どれだけ経ったかも忘れていても
ただ分かるのは
その時君が僕の隣にいて
今もこの惨めな身体は覚えているということ
今日も
暖かな紅葉の香りに包まれながら
生ぬるい心を呑み込む
きっとどこかで微笑む君の唇を脳裏に掠めて
【愛言葉】
ただ真っ直ぐに
疑う心も抱かず
その愛を受け止められるのならば
それは血と心の通った2人だけの言葉
どれだけたくさん捧げても
あなたはまだそんな不安な顔をする
どれだけたくさん注がれても
わたしはその度全く新しい感触がする
愛を交わすということは
互いに信じるということ
そんな高貴な愛を紡ぐ
心温まる友情を描くのもいいが
ここは素直にこの単語に対する私が最近考えることを脳内ダダ漏れで書くとする
【友達】
『友達とは』
この問いを巡り討論したことがある
わたしはその時
『心を開ける人』
と言った
人は無意識に自分と同等と思える人間に声をかける
これはわたしだけじゃないって信じたい
今
どれだけ親しみを込めて
どれだけ愛情を抱いていたとしても
本能が
目と目があった一瞬で見極めて
無意識のうちに態度を変えている
そんな愚かな自分に気がついたとき
心に冷水をかけられた気分になった
いや、見て見ぬふりをしてきただけなのかもしれない
こんなに大好きな友達なのに
気づけば共通点がなくなってたり
こんなに大事にしてくれる友達なのに
一緒に居ても全く楽しくなかったり
こんなに疲れる友達なのに
今更群れから出るのが怖くて友達のフリをしたり
こんなに『いいひと』に恵まれているのに
『友達』に思える人が少ないのは何故だろう
わたしが薄情者なだけなのかな
全てを求めるわたしは欲張り過ぎた
あなたはわたしの脳を見ている
こんな脳みそを愛せるならば
わたしもあなたを愛したい