晴川

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6/29/2024, 11:27:34 AM

 入道雲を見ると思い出すことがある。

 子供の頃初めて見たアニメ映画で、巨大な雲の中に隠れていた城。その城の秘密のカギとなる青く光る石。
 
 当時私はその石が欲しくてたまらなかった。
 あの石を首にかけて空をゆっくりと揺蕩ってみたかった。その石を模したおもちゃを買ってもらったことがあったが、もちろんそれでは空を泳ぐようなことはできなかった。

 魔女が街で宅急便をする映画だってそうだ。布団たたきにまたがって押し入れの中から和室に敷かれた布団にダイブした時だって飛べなかった。

 今だって。空を飛ぶ夢を見た朝の嬉しさはその日一日舞い上がってしまうほどだ。

 
 澄んだ空や入道雲を見ると、心地よい風と大きな雲の中を揺蕩うように、泳ぐように、流されていく空の魚になりたいと思うのだ。

6/29/2024, 6:26:22 AM

 夏は苦手だ。暑いからだ。寒ければ着込めばいいが、暑くても脱ぐものには限界がある。クーラーを使いたいが、クーラーの風も体調を崩しかねず苦手だ。

 ただ、苦手な夏の中でも好きな一日はある。誕生日だ。実は今日は私の誕生日である。誕生日というだけでなぜかそわそわし、浮かれてしまうのだ。

 子供の頃は一年は長く、誕生日にはケーキとプレゼント、誕生会があった。一年でこれだけ成長したということが写真などから今でもわかる。
 大人になってからは身長も伸びず、あとは歳を重ねていくだけとなる。とは誕生日が来るのが嫌だという友人が言っていたことだ。

 確かに子供の頃ほど盛大に祝ってもらえるわけでも、待ち遠しいものでもないかも知れないが、大人になった今、子供と違って私には三つのものがある。
 
 お金と行動力、そして自由だ。

 つまり誕生日に好きなところへ行き好きなものを飲み食いし自分に誕生日プレゼントを買うこともできる!
 今日は誕生日特典のある店でプレートのついたケーキを食べドリンクを飲み、これから予約したホールケーキを買いに行く。夏用のサンダルと日傘を新調し、そして夕飯には寿司を食べに行くのだ。

 今日のために特典のある店を調べ、食べたいケーキを予約し、欲しいサンダルや日傘の目星をつけた。寿司はこれから。自分の誕生日を自分で祝うのもなかなかいいものだ。

 私は思っている。大人になってよかった!!!今日も暑いけど今日だけは許す!なんたって誕生日だからね!
(本当に誕生日です!祝って〜!)

6/27/2024, 3:28:26 PM

 時折同じ夢をみる。見知らぬ場所で誰かとお茶会をしている夢。いつも目を覚ますと忘れてしまう夢。
 私は親しげに、その誰かとお茶を飲みながら穏やかに会話している。どこかもわからず、誰とも知れない相手といるのに不思議と心地がよい。

 ある時ふと疑問に思った。「ここはどこであなたは誰?」【誰か】は答えた。『休息所だよ。君のためのね』
『そして僕は君のための話し相手、誰でもない【誰か】さ。』

 これは私が自分を甘やかすための夢だったようだ。こんなに意識がはっきりしている夢は初めてだが、これが明晰夢というものだろうか。

『少し違うね』
心を読んだように【誰か】が続けた。

『確かにこの夢は君の頭の中にあるものだ。でもね、君が自身を甘やかすために造った夢ではないよ。』

『僕は誰でもない【誰か】だ。君のことを大切に想っている人たちの気持ちのかたまりが【誰か】になった。』

『君がいつまでたってもみんなの想いに気がつかないから、こうして僕が形になって現れているんだよ。起きている間中休まないんだもの。眠っている時しかお茶会なんてできないでしょう?』

 それから少しの間、【誰か】に優しく怒られてしまった。まるで母親のようなことを言うから思わず笑ってしまったけれど。



 珍しく目覚ましよりも早く目が覚めた。まるで十分な睡眠をとったかのようにすっきりした目覚めで、どこか穏やかな気持ちだった。