晴川

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 時折同じ夢をみる。見知らぬ場所で誰かとお茶会をしている夢。いつも目を覚ますと忘れてしまう夢。
 私は親しげに、その誰かとお茶を飲みながら穏やかに会話している。どこかもわからず、誰とも知れない相手といるのに不思議と心地がよい。

 ある時ふと疑問に思った。「ここはどこであなたは誰?」【誰か】は答えた。『休息所だよ。君のためのね』
『そして僕は君のための話し相手、誰でもない【誰か】さ。』

 これは私が自分を甘やかすための夢だったようだ。こんなに意識がはっきりしている夢は初めてだが、これが明晰夢というものだろうか。

『少し違うね』
心を読んだように【誰か】が続けた。

『確かにこの夢は君の頭の中にあるものだ。でもね、君が自身を甘やかすために造った夢ではないよ。』

『僕は誰でもない【誰か】だ。君のことを大切に想っている人たちの気持ちのかたまりが【誰か】になった。』

『君がいつまでたってもみんなの想いに気がつかないから、こうして僕が形になって現れているんだよ。起きている間中休まないんだもの。眠っている時しかお茶会なんてできないでしょう?』

 それから少しの間、【誰か】に優しく怒られてしまった。まるで母親のようなことを言うから思わず笑ってしまったけれど。



 珍しく目覚ましよりも早く目が覚めた。まるで十分な睡眠をとったかのようにすっきりした目覚めで、どこか穏やかな気持ちだった。

6/27/2024, 3:28:26 PM