お金より大事なもの
「同情するなら金をくれ。」
今の若者は知らないかもしれないが、昔のドラマの有名な言葉だ。
「お金より大事なものは、お金がないと守れないんですよ。」
有名な漫画の台詞だ。
「お金なんてなくても」という台詞を言える人がいるが、本当の貧乏を知らないから、そんな言葉が言えると思っている。
半世紀以上生きてきた私は、あの時お金があったなら、という場面に幾度も出くわして来た。
建前でなら、お金より大事なものはたくさんあると言える。
でも、本音では、お金はないよりもあったほうが、より心に余裕を持って生きていけると思っている。
月夜
「お母さん、今日、星が見えるよ。あっ、月も綺麗。」
車を降りた娘が言った。
「そうだね、今日は雲がないからか、星がたくさん見えるね。」
そんな言葉を、毎日交わしていた。
学校の部活のあと、塾に通っている娘のお迎えの時間は21時過ぎ。
家に着くのは22時。
地方の田舎の町では、電車もなければバスも遅くまで運行していない。
私の車での送迎が、毎日当たり前の生活だった。
いつも月や星が見えるわけではない。雨の日や曇っている日はもちろん見えない。
見えない日でも、家に着いて車を降りると、娘は空を見上げる。
今思うと、空を見上げて月や星が見えたと二人で交わす、そのたった一言二言が、娘の学校生活の、部活の、塾でのプレッシャーや重圧からの解放に繋がっていたのではないだろうか。
今、娘は独り立ちして一緒に暮らしていない。
夜、月や星を見ることも少なくなった。
今日の月は平凡な月だけど、携帯電話で写真を撮って娘に送ってみた。
娘からも返事が来た。「私も見たよ。」と。
絆
一緒に働いている同僚がいる。
かれこれ10年以上になる。
ずっと二人で協力して働いてきた。
最近では、いろいろな状況下で、同じことを考えて共感することが増えた。
阿吽の呼吸で仕事ができる、この状況になるまでに10年以上の月日が経っている。
お互いが、自由に言いあえることが良いとは思わない。
お互いが相手の気持ちを考えて尊重できる、そんな仲だ。
そこに絆を感じているのは、私だけではないと思いたい。
大好きな君に
人生の岐路に立ったことがありますか?
後になって、あの時が岐路だったと思う事が、私にはある。
あの時、君と会う事を選んでいたら、今の私の人生は、どう変わっていたのかと考える時がある。
今の私の人生は、決して不幸ではない。
なのに、違う人生があったかもと思ってしまう。
大好きな君との人生を歩んでみたかった。
ひなまつり
娘がいない3月3日は、これで何年目だろう。
独り立ちしている娘を褒めてやらないといけないのだろうが、お雛様を見ると、ふと淋しくなる。
昔、お雛様を見て、これが自分のお雛様なんだと無邪気に喜んでいた姿。
成長していくにつれ、お嫁に行き遅れるから早く片付けろとばかり言うようになった。
3月3日が近づくと、いつも思い出す。
まだ娘が幼い頃、トイストーリーを見て、
「あのお雛様も、私が寝ている時に、箱の中から出してって喋ってるのかな?」と言った事を。
今年も箱の中から出してあげるよ。