たかだ

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9/17/2022, 10:23:29 AM

花畑を見ると、考える。
『これらの花は誰に似合うかな』
タンポポなら、彼。
スミレやユリなら、彼女。
コスモスやチューリップなら、あの子。
薔薇の花なら、あの人。
向日葵は…
藤の花は…
ぼたんや椿は…


色々考えていると、ふと気付いた。
あんな所にシロツメクサ。
ああ、
あの花はきっと、ワタシね。
人の輪の中に馴染めない。
人目につかない所に咲く。
小さくて、弱々しい。
他の植物に押し潰されてしまう。


でも、いいの。
それがワタシだから。
花言葉って、色々ある。
幸福、約束、私を思って、なんていうのもある。
中でもワタシにぴったりの花言葉がある。

─『復讐』。

9/16/2022, 12:11:31 PM

空が泣くって、どういうことだろう。
雷さまがどうとか、神さまがどうとかじゃなくて、
空が泣く。
理科で習ったことでは説明がつかないだろう。
なぜなら、
空に直接聞いたわけでは無いから。

と思いつつも、説明できてしまうんだなあ。
…。
でも、まだ夢は見ていたかったかな。

9/15/2022, 11:05:29 AM

「今日は学校お休みしなさい。」
かーちゃんに言われた。

オレはガッツポーズしながらベッドに潜り込んだ。
ひとねむりしようかな。

オレは昼間にまた目を覚ます。
今日は思う存分ゲームができるし、ゴロゴロしてても怒られない。
なぜならオレは病人だから!!
頭は少し痛いし、体も寒いけど、ゲームはできる。
ベッドの下に隠していたポテチを貪り食う。
んー!美味い!
平日の昼間から、お菓子を食べられるなんてオレってツイてる。
熱が下がったら下がったで、学校には行こうと思う。
けど、この瞬間を楽しもう。
オレはまだ子供なんだから!


ピロン。
着信音だ。
寝ぼけた頭で思う。
「アイツからだな」
案の定、となりの家の、おんなじクラスのアイツからだった。
メッセージを開いてみる。
『熱、下がった?』
オレはスタンプを送る。
文字を打つのがめんどうだった。

ピロン。
返事が早すぎる。
『🍰ケーキ持っていくよ🍰』
オレはまたスタンプを送る。

ピロン。
『🍪クッキーとチョコレートも持っていくね🍫』
女子っていみわかんねー。
いちいち絵文字つかうなっての。

ピロン
ピロン
ピロン
ピロン
ピロン
ピロン
ピロン

『ねえ』
『きいてる?』
『むししないで』
『きずついた』
『はやく』
『かえしてよ』



『さよなら』

9/14/2022, 11:32:36 AM

あなたって本当に面白い。
勝てないと分かっていても尚、私に向かってくる。
私、あなたのことを妹みたいに思っていたわ。
可愛くて、愛らしくて、大好きだった。
あなたも私を姉のように慕ってくれていたのなら、
それはとても嬉しいこと。
でもね、もう手遅れなの。
あなたは悪くない。
全く悪くないの。
何が私たちの間を隔てたのかは解らない。
けれど、ひとつ言えることがある。

これは全て仕組まれたこと。

仕方がないの。
本当は私もこうはしたくない。
だけど思うの。
どうせなら、大好きなあなたに、私の全てを受け止めて欲しい。
手加減なんて、きっとあなたは望んでいないでしょう?
だからね、私の命が燃え尽きるその時まで、
私と一緒に、あの時のように遊んでね。
あなたがしたいと思うことなら、私は喜んで相手をするわ。
だって、私はあなただけの『おねえちゃん』だもの。

9/13/2022, 12:42:34 PM

朝に宿題の残りをやる習慣は相変わらず抜けない。
だから僕は3時くらいに起きる。
外はまだ暗くて、秋特有の肌寒さを感じる。
なんとか布団から這い出てノートを確認する。
ほとんど埋まっていない。
1日2ページがルールと知ってはいるものの、
やる気になれない。
何か飲んでから宿題の残りをやろう。
僕は思った。

階段を下りていく。
電気を点けたら多分、お父さんもお母さんも起きてしまう。
僕は小型の懐中電灯で足元を照らしながら進む。
いつも下りる階段が違う場所に思えて心細い。
いつもよりも長い距離に感じる。
そう思った矢先、台所に続く通路が見えた。

僕は恐る恐る台所に向かう。
人影がある。
人影はこちらを振り返る。

高校生の兄だった。
「何してるの?」
僕は訊ねる。
兄はレンジの中を指差した。
マグカップがある。
目を凝らしてみると、中身が分かった。
牛乳だろう。
「飲むの?」
僕はまた訊ねる。
兄は首を横に振った。
レンジがピーピー音を鳴らす。
温め終わったらしい。
僕は冷蔵庫を開けようとした。
が、兄が僕の肩をぽんぽんと叩いた。
そして、マグカップを指差す。
「僕が飲んでいいの?」
兄は頷く。
「アクは無い方がいいかな。」
僕は呟くように言った。
兄はレンジからマグカップを取り出すと、
つまようじでアクを取った。

僕の手にそれを握らせた。
「ごめんね…ありがとう。」
僕が言うと、兄は『じゃあな!』みたいな仕草をした後に
真っ暗な通路の方向に消えていった。


部屋に戻った僕は机に向かった。
兄の作ってくれたホットミルクを飲み飲み、ノートを埋める。
手が思うように動く。
頭もまわる。
僕は最後の意味調べを終えた。
『死人に口なし』
布団に潜り込み、目を閉じる。
やっぱり兄は変わっていない。


─生きていた頃と、全く。

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