「コール」
「...レイズ!」
「コール...。」
ここで勝てなきゃ負ける。いや、負けなんてあり得ない。レイズしたんだ。
カードを死角で裏返し、袖口に忍ばせ別のカードを出す。さあ勝負の時間だ。
「フォーカード...!」
お嬢さんには申し訳ないけど、ここで大儲けして
「ロイヤルストレートフラッシュ。あはは、お兄さん油断したね。駄目じゃない。」
盤面が裏返った。何故?バレていないはずだろ...!?
「お兄さん、これは運の世界。イカサマも良いけれど、それは一番じゃない。」
全てがひっくり返った。
2024/08/23 #裏返し
晴天に想いを馳せる。飛ぶ事が出来ればどれだけ楽しいだろうか。ああ、僕はどうして飛べないんだ。
いつか飛べる日を夢見て。
「...あ!ペンギンが空飛んでる!すごいね!」
今はただ、空を飛ぶ鳥のように、水中を泳ぐ。
2024/08/23 #鳥のように
静寂。
こんなにも呆気なくて、心地が良いのね。私は何故こんなやつに振り回されてたのだろうか。
...今までの鬱憤を沢山ぶつけようとしたのに、いざとなると何も出てこなかった。
さよならを言う前に、くそったれくらい言っておけば良かった。
2024/08/23 #さよならを言う前に
一昨日は晴れ。昨日は雷雨。今日はせめて曇りだと良いけれど、多分雨。
明日の天気は私の行い次第。私が彼のことにちょっと鈍感になって、気づかないふりをするだけ。
帰って来たみたい。何食わぬ顔でただいまなんて、知らない香りを纏って良く言えるね。
...ここはグッと堪えて。
「おかえり、待ってた。...ご飯食べよ。」
明日はきっとなんもない。
空にさよならしなきゃ。
2024/08/23 #空模様
鏡を見れば、いつもの自分がいる。しかし、指を重ね、瞳を合わせて
「あなたはだあれ」
と問いかけると、何故か別人が向こうにいる様に感じる。いつもの自分とは。自分が自分であると証明するのは、自分が自分でないと証明することより、遥かに難しい。
そうは思わないかい、キミ。
そう、そこのキミ。不思議そうな顔を浮かべているね。いや、興味深いものを見るような顔かな。
キミは私で、僕はキミ。
なんだかおかしい?そんなひどいや。俺はオレだよ。キミはひどい顔をしているね。どうしたんだい。話を聞かせてよ。無言じゃ何もわからないよ。そんなにアタシに話したくないのかい。悲しいなあ。
ところで、キミの名前は?
今日も鏡に映る誰かに話す。
2024/08/19 #鏡