黄色くなった森には雨が降っていた
動く黒色の眼
枯れ葉に紛れた毛並と
涼しさひんやりと染みる耳
穴の中、ひょこりと小さく顔を出す
顔に当たる水滴に
思わず目をつぶる
柔らかい落葉にしぶきが落ちる
雨雲はツタの張った老木を濡らす
重たい殻を背負って
眠っていた顔を湿らせる
まだ辺りを見渡しながら
ゆっくりと歩き始める
題 雨音に包まれて
二人で居たあの部屋
統一された黒色の家具
二人だと隙間だらけのテーブル
お揃いのマグカップ
テーブル越しあなたを眺めた
「美しい」
不思議とそう思ったことはない
ただ、あなたは愛おしい
美形だとは思うその顔も
手入れの行き届いた髪も
それ自身が好きだから
美しいなんて思わなかったんだろうね
曇天と止んだばかりの雨
酒のつまみを買いに
黒いスニーカ
濡れることも気にせず
突っ込み濁る水溜まり
コンビニへ歩く
このアスファルトの一本道
消したくない思いでの場所
今一人で歩く場所
シャッターと入居募集の看板がならぶ
まだ土砂降りだった雨
待ちぼうけしてるあいつのところ
一つだけ持ってった傘と
並んで見えなかったラピスラズリ
今まで見た景色
美しい
それでいて生き生きとした景色
裸足で行こう
川に冷やされ、土を踏みしめ、草花と笑う
白いワンピースで
風を受けよう
いろんな場所でいろんな風を浴びて
笑ってた風、叫んでた風
さて、どこまで行けるのか
一人のようでも寂しくはない
出会いはきっと無限にある
さあ、行こう。
この頃珍しいステレオタイプの喫茶店
レンガ造りの壁と黒塗り鉄製の看板
重厚感のある焦げ茶色の扉
開いた先
入店を知らせるベルの音
カウンターのマスターへ響く
足取りは吸い込まれるよう
椅子はマスターの前の物
「コーヒーを一つ。ミルク入りで。」
洗練された豆を挽き
丁寧に湯を落としていく
特別見るものでもない
しかし、興味が湧いた
「明日も、また来ます。」
彼は微笑み浮かべて
ペールに掛かったコーヒーを差し出す
「約束ですよ。」