9/25/2023, 11:22:57 AM
朝になったら開けましょう
夜になったら閉じましょう
嵐の前にも閉じましょう
雨の後には拭きましょう
光の眩しいときにはレースをひいて
光の恋しいときこそ隅々まで磨いて
曇り一つない窓から見える景色は
どんなに晴れやかなことでしょう
/お題「窓から見える景色」より
9/24/2023, 10:57:27 AM
感覚、感情、思考、記憶――形の無いものは自分のためにあると思っている。病気や怪我で取り出せなくなることはあっても、それらは変わらず自分の中にある。形が無いからこそ、誰にも侵されることはない。
一方で、自分以外の誰かに干渉するものは、形の有るものでなければならない。自分の中にある形の無いものを、言葉なり、物なり、行動なり、目に見えるものに置き換える必要がある。非常に難儀で厄介な作業であり、形ばかりの、と揶揄されることもあるだろう。それでも、形の無いものの恩恵を受ける者としての、一種の義務であると私は思う。
そして、この文章もまた、私の中にある形の無いものを「言葉」という手段で変換した結果、生まれたものである。
/お題「形の無いもの」より
9/23/2023, 11:22:47 AM
枠登り
手掛け足掛け
天辺に
天道虫なら
羽ばたけるのに
/お題「ジャングルジム」より
9/22/2023, 10:33:45 AM
星が眠る夜
月影を掬って
ささやかな祈りを注ぐ
朧気な輪郭と
微かな声を辿って
さやかな光を望みながら
/お題「声が聞こえる」より
9/21/2023, 10:29:15 AM
茜の空をとかしたような紅茶は
うっとりするような香りで
でも火傷をしてしまいそうで
大事に、大事に、息を吹きかけた
湯気の晴れた紅茶は
灯りを曇りなく映して
それが眩しすぎて
冷めきったひと口は
それはそれは、味気なくて
私はいったい、何を期待していたのだろう
/お題「秋恋」より