感覚、感情、思考、記憶――形の無いものは自分のためにあると思っている。病気や怪我で取り出せなくなることはあっても、それらは変わらず自分の中にある。形が無いからこそ、誰にも侵されることはない。
一方で、自分以外の誰かに干渉するものは、形の有るものでなければならない。自分の中にある形の無いものを、言葉なり、物なり、行動なり、目に見えるものに置き換える必要がある。非常に難儀で厄介な作業であり、形ばかりの、と揶揄されることもあるだろう。それでも、形の無いものの恩恵を受ける者としての、一種の義務であると私は思う。
そして、この文章もまた、私の中にある形の無いものを「言葉」という手段で変換した結果、生まれたものである。
/お題「形の無いもの」より
9/24/2023, 10:57:27 AM