毎晩空を見上げては、
姿の違う月を見る。
欠けては満ち、欠けては満ち、
月は優しく微笑みかける。
だからだろうか、
私の心はとても穏やかで、愛に満ちている。
月が私を包み込んでくれてるから、
そう、思っている。
あぁ、どうか、私がそちらへ向かうその時まで、
私と共に静かな夜を過ごしてほしい。
僕は草っ子、僕は草っ子。
道端に生えている草っ子は僕の兄弟。
今日は年に数回しかない不思議な雨が降った。
通常であれば透明な雨、比較的兄弟の大半が同じ時間に経験する雨。
でも今日は違う。降る場所は限られており、
なんたって色が黄色なのだ。
降り止まない雨。
いつ止むのだろうか。
僕はこの匂いが嫌いなんだ。
色も何もない、透明な世界があるのなら、
私はそこの住人になろう。
心を彩る感情もない、
頭を悩ます黒いモヤもない、
何もない、ただ透明な世界。
きっと今よりも素敵な日々を暮らせるだろう。
なんだ、これ。
妻の部屋に貼ってあった紙にはこう記されていた。
理想のあなた
白馬の王子様のような姿
どこぞの名探偵のような頭脳
どこぞの詐欺師のような話術
社長
いや、ツッコミどころがありすぎて、
なんと言えばいいのやら、。
最後だけ生々しすぎる、、。
まだ平社員なのに、、後何年かかるのやら、。
少しの間、妻との付き合い始めの頃を思い出し、
俺は部屋を後にした。
今日は早くに目が覚めた。
だから思う存分、優雅な朝を過ごした。
紅茶を飲んで、クラッシックを聞く、、そんな朝を。
だが、それが間違いだった。
学校に行き、机に必要なものを置いていく。
しかし、何かが足りない、、。
そう、ラブレターだ。
今日私は1組の雅くんにラブレターを渡すのだ。
昨日、精神統一をみっちりしたため、
そして今日彼は部活がないため、
私は今日渡そうと決めたのだ、そう、決めたのに!
あぁ、、、優雅さを求めなけりゃ良かった。
でも、今日しかない、、、。
紙ではなく声で伝えてみようかな、、
そんな考えが頭にうかぶ。