白冨くん、、。
そう言って悲しそうに笑う君を、
僕はみたくなかった。
けれど、僕は君に告げなきゃいけない、。
僕はあと一年もいきられないから、
瑠奈ちゃん、君と一緒にいられないから、、。
君に会った時から、ずっと大好きだった。
弱虫な僕を見つけてくれて、ありがとう。
僕は君のことをずっと想っている。
だから告げよう、君に、、、。
心に滴るしずくを無視して、。
瑠奈ちゃん、別れよう。
ある一つの絵画を前に、私は私の中にのめり込む。
このような感覚を、前に一度経験していた。
あの日、就活に悉く失敗し、
心身ともに疲弊していた私は、
目に止まった世叉無美術館に入った。
歩いているとふと目に止まった、一枚の絵。
淡く、儚げなさまざまな色がシャボン玉のように、
描かれていた。夢見る心、という題であった。
何分、何時間経ったであろうか。
いつのまにか2時間が経過していた。
頬に薄くてきらりとひかる跡を残して、、、。
今日もあの日と同じであった。
ただ一つ違うことがあるとすれば、、、。
私は今、学芸員として美術館で働いている。
本を開くとあなたに会える。
ページをめくるとあなたは笑う。
あなたに抱いたこの想い、
届くことはないけれど、
密かにあなたを慕っています。
もし、生まれ変わるなら、
あなたと同じ世界で生きたい。
僕にも、翼が欲しい。
あの鳥のように、広い広い空を気の済むまで飛びたい。
もし僕に翼があれば、、。
君に会いにどこまでも飛んでゆこう。
名前も知らない君に会いに、、。
顔も知らない君に会いに、、。
もし僕に翼があれば、。
君と共に空を飛ぼう、、。
自由な空という海の中を、
君と泳ごう、、、。
名も知らぬ君に、、、、。
覚えていますか。
あなたはきっとこういうのでしょう。
お前なんか知らない、、、と。
嘘なんかつかないでください。
そんな苦しそうな顔で言わないでください。
沈む夕日、赤く染まる空、隣で歩くあなた。
わたしとあなたを繋ぐ手のひら。
しずく、、そう呼ぶあなたの顔、
一生頭から離れることはないでしょう。
忘れるわけないでしょう。
あなたがどれだけ私を突き放そうと、
私はあなたに会いに行きます。