誰よりも
他人を意識しなければならない宿命を
人は背負っているのかな
もしそうなら
自分磨きをして辿り着きたい
「みんな違ってみんないい」そんな俯瞰の境地
「誰よりも」なんて事に縛られているのは嫌だ
低い目線でのどんぐりの背比べにすぎないから
バレンタイン
今日はバレンタイン
女ども2人は世間の風潮に乗っかり
旦那(父親)にチョコを渡した
妻の私はイベントの残りを流用
娘は限定バージョンを
自分が食べたかったからと一石二鳥をもくろんで人数分入っている高級な物を買ったらしい
退職以降、後輩や保険やさんから縁遠くなった彼は身内からのチョコに新鮮な反応をした
気恥ずかしそうに縮こまる白髪の老人を見て
私は自分でも驚く言葉を添えていた
「まだまだ頑張ってね頼りにしているから!」
愛してるやありがとうを超越した労りのエールを贈っていた
これって本命チョコより思いは上よね
プライスレスなんだから
伝えたい
誰に?
何を?
いつ?
何のために?
そんな説明調の理屈で固めていたら
使い古した言葉が頭をグルグル
新しく伝えたいものなんてないかも
言葉を吐き出す程に空っぽになってしまう感じ
自分が希薄になるのはもう嫌だ
何気ない毎日の積み重ねと時間の裏付けの中で誰かが気づいてくれる事
鍾乳石のように薄々見えて来るもの
そんな気の遠くなるような
言葉ではない伝え方がある事
それならならもう見つけている
誰かの伝えたいを拾って歩く側の人になる
これが私
この場所で
石の階段を上った先にある小高い一軒家の窓辺
尾道特有の山肌に張り付くような家並みを下に吹き上げてくる海風に体を預けている
川のように狭い海を隔た向こう側
小さな島が見える
ピコン〜依頼主からのメッセージが入った
---部屋のものはご自由にお使いください
1年間よろしくお願いします---
私はもともとこの町の住人
ただ依頼主の対岸の島育ち
都会に憧れ故郷を離れ転々としている身
30を過ぎても居場所が見つけられないでいる
久しぶりの帰郷だ
10代の頃、島育ちは本州側の町民から見下ろされていると勝手に思い込んでいた
それが嫌で島を離れた
ところが最近になって尾道を舞台にした映画のシーンを繰り返し夢に見るのだ
カーテンがはためく高台の窓
尾道特有の山肌に張り付くような家並みを私は見下ろしながら吹き上げてくる海風に髪なびかせつぶやいている「どこか遠くへ行きたいな」って
そんな時この依頼を目にした
〜1年間住んでくださる人を募集します〜
東京の住所のまま応募したらすんなりと任された 今日からは私が見下ろす側の人になる
この場所で一年過ごしたら島のあの場所は転々とした都会はどう見えるんだろう
腑に落ちる何かを掴みたいこの場所で
誰もがみんな
かつて誰もがみんな二つの扉を持っていると信じられていた
一つ目は生…卵子に辿り着いた勝者に与えられた扉で同時に人は選ぶ力を授けられたという
もしも二つ目の扉…死のドアを開けたくなったらその前にセイフティーネットが用意されている世に存在していることを思い起こすといいとされ、選ぶのは自分なのだと気づかされたらしい
既に自身の生と死の覇者なのだから思う存分この世を楽しめばいい
そう思えるんじゃないか…と
一握りの人の世で同時進行していた事がある
あなたは銀のスプーンを持って生まれた方
あなた様の扉はこちらにご用意があります
扉を選ぶ必要はありません
なので我々執事に全てお任せ下さい
ご両親様の意向は既にプログラミング済みですそして2つ目の扉を開けることはないでしょう
そもそも選ぶ力は必要ないのです
等しく生と死を持っていたのは遥か昔…
下等な生き物だった頃
今は主人と従者の扉のみ
あなた様はご主人様のスペアなのですから
もし選ぶ力を欲したならそれは従者の扉を開けてしまうことになるでしょう
人の歴史の表と裏 姿形を変えて繰り返し
これを進化というのだろうか