秋恋
秋に恋しく思うものは薪の燃えるにおい
暮れなずむ空の下
家々で火を使い始める気配がする
友達と別れたとたん小走りになる
まずいっ薪のにおいがあちこちでする
1日の終わりが急げ急げと背中を押してくる
今日は風呂炊きの当番だった早く帰んなきゃ
生活の営みが容赦なく待ち構えている
裏戸からこっそり入り何食わぬ顔で風呂焚きを始めた 母の姿はない裏の畑へ野菜をとりに行っているのか
隣のかまどではご飯が吹き始めたようだ
オレンジ色の火が映し出す
いつもの台所
甘い匂いがたってきた
始めチョロチョロ中パッパ…
おばあちゃんの呪文が甦る
不便で贅沢とは無縁だった幼かった頃
人の手が作り出す同じ光景には安心感と
妙な心地良さがあった頃
安全基地は確認するまでもなく日常にあった
愛する、それ故に
ふるさとを愛する、
それ故にふるさと納税をする
これといった特産品は無い
どこにでもある農作物や海産物
損得感だけなら見逃してしまうものばかり
かつて両親がせっせと届けてくれていた
あたりまえ過ぎるふるさと便を口にすることができなくなって久しい
ちょっぴり贅沢もできる年齢になったのに食べたくなるのは「また?」と文句を言っていた母の定番おかず 夏はどっさりとれる茄子尽くし
いりこ入り茄子と切り昆布のたいたん
正真正銘のふるさとの素材を心身が欲してくる
伊吹のいりこが欲しいなー
ポチする度に浮かぶ土地の景色
手にした荷物の住所でしばし思い出にふける
品は自身で故郷愛をプラスしながらいただく
そして故郷も私の想いを受け取れる
ウインウインこれがいい
老いた私のふるさと納税の楽しみ方
静寂の中心で
リンリンリンリン
リーンリーンリーン
澄んだ鈴の音が波紋を描く秋の夜
燃える葉
真っ先に浮かんだ焚き火だ山火事だなんていうのもちょっとお騒がせっぽいしね
じゃあ こうよう?
紅葉と枯葉の見極めができない自分には
真紅のもみじ以外は愛でる気にならない
そんなトホホな私
「そうだ京都へ行こう」のコマーシャルでお腹いっぱい なのでパスしまーす
待てよ
燃える秋〜♪っていうのがあったっけ
お題と似た響きが突然頭をよぎる
ハイファイセット
五木寛之の小説が映画化され
真野響子が亜希を演じていたらしい
萌える亜希なんて揶揄されていたかどうか知らないけど
記憶の中では大人の世界のお話で10代の私は
まだ扉を開けてはいけないのとスルーした
今回よくよくみたら副題Growing Autumn
作品は亜希の成長物語じゃなかろうかなんて
これまた勝手な想像をしている
好きな女優さんが演じていたとあってはこの秋見逃す手はない
それにアジア中東旅に惹かれている今、中東が舞台らしいしタイミングもバッチリだ
お題がすっかり燃える秋にすり替わってしまってワクワクの火が燃え始めている
moonlight
繰り返される月の満ち欠け
月あかりを独り占めする
山あいの一軒家にて
新月
病んだ瞳には星々の姿はほぼ見えない
こんな夜には音も消し去り孤独を楽しむ
満月
澄んだ優しい明るさに包まれて
しがらみのない文を書く
全てを白日のもとに晒すことはない
クールダウンするには月夜に身を置き
ほら心を調光してごらんと月光が囁いている
ノクターンの調べのような
moonlight moonlight moonlight