空恋
私は 恋空 を連想したよ
夭折の人を想う
今日は七夕
春馬くんに会いたい気持ちを両手で掬い
天の川に注ぐ
クチナシの甘い香りがした
大海の一滴を大切に受け止めてくれたようだ
空から微笑みがかえってきたよ
星が瞬いた
波音に耳を澄ませて
瀬戸内の海は穏やかで
夏には夕凪 風が止まる
海辺で育ったくせに特段波音の記憶がない
思春期を過ぎてからは海ではしゃぐこともなく鼻先まで海水に浸かって
どこまでもゆらゆら光る水面を見ていた
命の源 羊水ってこんな感じって…
太平洋
大竹海岸では白波が一直線になり
次から次へと砂浜へ押し寄せている
まるで通せんぼをするかの様に広がって
おまけに強風と潮騒が否応なしに絡みつく
泳ぎは得意 でもこの挑戦的な海に緊張する
危険には近づくな父の声が押し寄せてはそれを打ち消す内なる声がかき消されてしまう
人生下り坂になっても親の呪縛はとけないものだ
サーファーは手慣れたもので
荒波に身を任せては…次の波を捉えに行く
私は声や身体の自由を奪われたまま波打ち際で思案する いつまでたっても一歩が踏み出せない自分がいる
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耳を澄ませてやっと聞こえるくらいの波音が心地いいんだ
ちゃぽんちゃぽんと小さく寄せては引いて行くそんな一生が自分には似合ってるんだ
〜自分を知るって難しいことだね〜
青い風が思い浮かばない
なので書きそびれたいつぞやのお題
夏の匂い
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子供の頃
夏はね ラジオ体操の(スタンプをもらうため)
早起きから始まり…
そこには夏の匂いや気配があった
東向きの畑では朝露がキラキラ
メガネなんてかけなくてもさ
はっきりくっきり見えたものさ
ひんやり強い湿った大気
草土のにおい
佇むだけで全身をめぐる
生まれたての陽ざし浴びてエナジー充填✨
両手を広げ大きなノビ一つ
井戸の水を汲み
弛んだ顔にバシャバシャかける
魔法の目覚めの水は冷たくやわらかい
髪の毛なんてとかさない
集合場所の松林まで猛ダッシュ
あー ビーチサンダルが何度も脱げもどかしい
もー 始まりの曲が聞こえてる
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半世紀以上前の田舎には万物がにおいと共にあったような…焼杉の板塀が温もったにおい
ご飯が腐る手前の甘ったるいにおい
沖まで続く遠浅の磯の濃いにおい
自分で確かめられる沢山の匂いの記憶を持つ世代は今より豊かだと思う
懐かしい田舎の景色に あの場所の光水大気のにおいが加わると若返り効果まであるからね
ありがたいありがたい
遠くへ行きたい
大林宣彦監督の「ふたり」という映画
冒頭?のシーン
『何処か遠くへ行きたいな
というのが実は姉の内緒の癖でした』🎬
舞台は尾道
遠くまで町を見下ろせる高台の部屋で
窓からの風に身を任せ妹が呟き 綴る
譜面台に置いた日記を書いていたのかな
ガラスペン 揺れるカーテン 町の遠景
気だるそうに図面台の様なものにつっぷすように顎を預けて…
30年以上前の作品で
脳内変換してしまっている気がするが
このシーンはもう私自身に置きかわっている
ストーリーより映像が印象的な作品
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尾道 行ってみたかった場所
この春
生まれて初めて訪れた
すぐに向かったのは大林宣彦記念館
郷里の有名人だもの当然あると思い込んでいた
ところが 存在しなかった
死後そういうものは残さないで欲しいという
本人の希望が叶えられていたのだ
そうは言っても流石にここにならと思い
尾道映画資料館へ足を運ぶ
が…矢張り彼に関する常設展示が一つもない💦
見事なまでに徹底されている
特別なイベントの時なら何かしらある?かも?程度の情報しか手に入れられなかった
彼の足取りと映画のロケ地を辿り
尾道でこの ふたり という作品を再び見る
独りよがりのプランは一瞬にして消えた
気持ちを切り替えて
あちらこちらに見える石段をゆっくり登ると
そこかしこにお寺
疲れたら10代に戻って坂道を駆け下りる妄想をする
高台の千光寺まで春の海風が昇ってくる地
あのシーン潮の香りがしていたはずだわ
尾道で想いの丈を込めて妄想する贅沢
35年の時間旅 過去と今を行ったり来たり…
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何でもそつなくこなせる優等生で美人の姉
映画では中嶋朋子が演じていた
妹役は石田ひかり
ドジでノロマで夢見がち
何かにつけて姉と比較され育ってきた
原作 赤川次郎
主題歌 歌詞大林宣彦 作曲久石譲
最後の声
母の最後の声を ふと聞きたくなった
暗闇の中寝息だけが響く病室で録った音
一週間後母はこの世を去った
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最近スマホを変えた
画面を大きくして写真も動画も移したから
簡単に出会えると思っていた
しかしどこにも残っていないよあの動画
そんなはずはない消えた?そんなはずは…
面会の度に衰弱していく姿を振り払うように
携帯で彼女の寝息を何度も聞いては
母の温もりを耳元に感じていたんだから
言葉にならない吐息でも娘の私にとっては紛れもない母の声......
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8年の時を戻して慎重にあの病室の動画をさがす
ようやく一枚の寝顔が出てきた
暗がりの中ぼんやりとだが見まごうなき母
動画なんだからね、なんで画像なの??
祈る思いで何度タッチしても聞こえて来ない
最後の声は何処へ行ったの??