soumatou

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波音に耳を澄ませて

瀬戸内の海は穏やかで
夏には夕凪 風が止まる
海辺で育ったくせに特段波音の記憶がない

思春期を過ぎてからは海ではしゃぐこともなく鼻先まで海水に浸かって
どこまでもゆらゆら光る水面を見ていた
命の源 羊水ってこんな感じって…


太平洋
大竹海岸では白波が一直線になり
次から次へと砂浜へ押し寄せている
まるで通せんぼをするかの様に広がって

おまけに強風と潮騒が否応なしに絡みつく
泳ぎは得意 でもこの挑戦的な海に緊張する
危険には近づくな父の声が押し寄せてはそれを打ち消す内なる声がかき消されてしまう
人生下り坂になっても親の呪縛はとけないものだ

サーファーは手慣れたもので
荒波に身を任せては…次の波を捉えに行く

私は声や身体の自由を奪われたまま波打ち際で思案する いつまでたっても一歩が踏み出せない自分がいる
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耳を澄ませてやっと聞こえるくらいの波音が心地いいんだ
ちゃぽんちゃぽんと小さく寄せては引いて行くそんな一生が自分には似合ってるんだ
〜自分を知るって難しいことだね〜

7/6/2025, 2:00:56 AM