、彼女がいてそれが幸せってさ、
彼女と別れちゃったら、だめじゃね?
いや、妬みとかじゃねーよ、
俺、そういうの興味ねぇし…
俺?俺は、お前とこうやって話してるの、良いと思ってる…
あ、やっぱやめ、なんかキモいわ。
うるせぇ、早くお前、彼女と一緒に帰ってやれよ
これは、俺がやっとくし、
と言い見送った
あいつの足音が遠ざかっていく
ズルズルとしゃがみ込んで
息を吐いた。
めっちゃキモいこと、言ったかもしれん。
っ…あいつは、気にせんかもしれんけど、でも、キモいな…
と頭のなかでグルグルと思考が回り
自分がいかに普通じゃなくて、変なのかを再認識する
俺が女なら、とか、あいつが俺と同じだったら、とか、変えられない夢を見て
落ち込む…
キメェ…と呟き、項垂れた
抱負なんて、長らく考えてない
毎年ぼんやり過ごして、何にもできなかったなーって振り返る
やりたい事を先延ばし、先延ばしにして手をつけない
のくせして、謎の全能感を抱えてて
今日は、まぁ、お腹痛いので、パスで
三が日だし、
今年も寝正月かもな
本と読んでいると裾が控えめに引かれる
見れば、ノアがコチラをじっと見つめていた
何?と聞けば読ませていた絵本を指さす
ノアが指さしていたのは甘くてフワフワの
「ケーキだよ。甘くてフワフワしてるの。」
イメージが湧かないのか、キョトンとしている
この子は世界から隔絶されて人形のように着飾られていた
12歳くらいのはずだけれど、言葉と感情が上手く出せなくて
本当に人形のようで
何をしてもされるがままのこの子の頭を優しく撫でる
「今日、食べようか。」
そう言えば、少しだがノアの目がキラキラと輝く
この子が人間らしく生きていけるように
私は答え続けていきたい
愛は終わりがなくない?
恋はなんていうか、その時の勢いとかもある気がするけど、
愛は一度抱いたら簡単には変わんないからさ
そんな気がする
後は、その人の代わりになれるかどうかとか?
愛から恋を引いたら残るのはなんだろう
なんだろう
無償とか?言い方がむずいけど、
形が変わんないみたいな?
恋人なんてできたことがない僕らの机上論
分かんねーー!!!
何となく手持ち無沙汰で
机をペンでテンポよく叩く
昔かじった程度の信号を
誰に送るでもなく
繰り返す
ふと手を止めて
時計を見る
まだ15分しか経っていなかった
資料を流し読みしながら
また繰り返す
繰り返された信号を
掻き消すように腕をどつかれる
横を見れば
友達の不満そうな顔と
書き殴られた切れはし
『文句言うな!うるさい』
途端に恥ずかしくなって
レジュメに目を通す
僕のこのクセは
この日を境になくなった