しめじ

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3/25/2025, 2:39:46 PM

私は、ひどい事故にあったらしい。
何年も眠ったまま、最近意識が戻ってきたようで。
目の前には、やつれた顔の男性がいた。
私と目が合った彼は、嬉しいような悲しいようなよく分からない
表情をして、
「おはよう」
と言った。
なんだかとても、懐かしくて、
彼に何か言ってあげたかったけれど、
声が喉に張り付いて出てきてくれなかったので、
彼への返答は微かな音だった。


それから、しばらくは病院で過ごして
彼は、少しずつ話をした。

彼と私は夫婦だったらしくて、
幼なじみで、ずっと一緒にいたみたいで。

ちっとも実感は湧かないけれど、
確かに互いの手元には指輪があるし、
懐かしさもやっぱり感じる、気がする。

すぐには、難しいだろうが、また
以前のように過ごせるだろうか。


無事に退院できてから、
彼は、よく
「前は、こんなこと言わなかった。」
とか、しなかったとか。
言われてしまうことが増えた。

記憶がなくなってしまったことで、立ちふるまいも
変わってしまったようで。

私は、事故の後遺症で足がうまく動かせなくなってしまって、
そのことでも、彼に負担をかけているのに。

そんな焦りから私は、
彼の書斎で、日記を見た。


端的に言ってしまえば、私は本当の私ではないらしい。

彼と夫婦だった私は十数年前の事故により還らぬ人になった。
彼は、この事実が受け入れられず、オカルトにのめり込んで、

私を創り出した。

厳密にいうと、私は夫婦だった私から数えて4人目の私らしい。
外見はそっくりそのままでも、中身は不十分にできてしまうようで、
私は、下半身不随で記憶が何一つない私らしい。

彼にとって、私は私ではなくて、
また、きっと、彼はやり直すために私をバラすだろう。

私にそれを拒否する権利なんて無いけれど、
私も、彼と少しでも幸せな時間を過ごしたかった。気がする。

3/17/2025, 6:03:49 AM

今日も来たよ
最近は段々と暖かくなってきたから、散歩するのが楽しいんだ。
桜もそろそろ咲く頃だよね。
料理、できるようになったんだよ。
だから、お弁当でも作って、一緒に行きたいな。

なんて。

今日は花、買ってきたんだ。
ハニーサックルって言うんだって。
甘くていい匂いがするよ。
強い匂いじゃないから、君も好きだと思う。

僕はさ、記念日とか特別な日はベタだけど、花を贈りたくて、
この匂いを嗅いだときに、思い出してくれたらなって。

でも、君がさ強い匂いは苦手なんて言うもんだから。
あの時、めちゃくちゃ困ったなー。

本当は、もっと君の好きな花が何なのか知りたいんだ。
僕の声が君に届いてるのか分からないけど、お医者さんは話しかけたり、
花を飾ったりしてくださいって。

君が嫌な気待ちで起きないといいな。


なんで、
飛び出しちゃったんだよ。
僕は、君が守れるならどうなっても良かったのに。


なんで

3/14/2025, 3:02:29 PM

運命だと思ったんだ。
あの時、言葉をかわすことはできなかったけれど、
絶対にこのまま別れちゃだめだって、
本能でって言えばいいかな?感じたんだ。

君もきっとそう思ってくれてるって、

思ってたんだけど

そう。僕かくれんぼとか、鬼ごっことか得意だったんだ。
だから、君のことはぜんぶ知りたくて、
いっぱい頑張ったんだ!


なのに、なんで?

僕はこんなにも、君を求めてるのに。
今までずっと自分が自分じゃなかったみたいだったんだ。
なんていうか、ずっと世界がくぐもって見えたんだ。

でも、君と出逢ったあの日から、
僕を取り囲むこの世界は、変わったんだ!


どうしたら君は僕のことだけ考えてくれるの?

黙ってないでさ、なにか話して?
やっと目の前で君の声が聞けるんだ。

僕には君だけいればいいし、君には僕だけいればいいんだよ。


あんな奴、君には必要ないんだよ。
だから、僕が代わりにバイバイしておいたよ。

泣きそう?初めて見れた、嬉しい。
もっといろんな君を僕に見せて

3/12/2025, 11:57:13 AM

ゲームってさ、一回クリアしてしばらくしたら
また初めからやりたくならん?
何ていうかさ、初見って何もかもがめちゃくちゃ新鮮で、
大切にしたいんだけど。何かさ、また改めてさ、
前回はできなかったことやってみたくなんない?

あんましかな?

てか今のゲームだと結構周回前提のやつとか多くない?
そういうのはやる?
やりそう。


あたしさ、やるゲーム無かったから繰り返し遊ぶクセついてんのかも。
ね。

ねぇ、あたしさ、バッドエンドとか幸せになれない結末さ、
好きじゃないんだ。

だからさ、次に賭けてみようかなって!思ってる。

これから頑張って挽回する気にも、正直なれんのよねー。
もうどうにもならないとこまで、来てるかなって感じ!

次はさ、あったかくて、柔らかくて、幸せになれるかな。

君も、あたしのこと見てくれるかな。


慎ましやかに執り行われた式の後、彼女の手紙を読んだ。

自らとんでしまった彼女には、来世があるのだろうか。
この世に縛りつけられていないだろうか。

近くにいたのに、何もできなかった僕を思ってくれていた彼女が、

これから幸せになれるように。
願い続けようと思う。

湿った頬を、風が優しく撫でた気がした。

3/11/2025, 4:36:43 AM

空を飛んでみたい!
行きたい場所にひとっ飛び!
なんて、

今は切実に1日の概念を延ばしたい

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