「幸せに」
子供の頃、幼馴染を庇って障害が残った。
彼はうまくいかない日常生活を支えてくれた。心無い言葉を投げかける人から守ってくれた。自分がやりたくてもできない事は彼が代わりにやって感想を事細かに教えてくれた。
そんな生活が何年も続いたある日のことだ。
「今度、結婚するんだ」
「え?」
「少し前に出会った人と。だから、是非出席してほしいなって」
その後の会話は覚えていない。多分、当たり障りのない会話をして別れたんだと思う。
今思えば、何となく気付いていた。
彼が私の元を訪れる頻度が減っていたこと。見覚えのない、どちらかというと女性受けしそうなも物を身につける事が増えたこと。
それに気付いて不安になって、自分が彼に依存している事を自覚するのが怖かった。
そう、私は彼に依存している。彼の罪悪感につけ込んでずっと縛り付けてしまっていた。もう解放してあげないと。
どうか愛した人と幸せにーーー。
なんて願えるわけがない。
たった数年一緒にいた奴より私の方が彼を愛してる。彼だってこの数年間ずっと私を大切にしてくれていた。
やっぱりこれは何かの間違いだ。何か弱みを握られてるに違いない。
また私が彼を助けてあげないと。
色とりどり
いらっしゃいませ。
本日はどの子をお買い求めでしょうか。
ラハサ砂漠の方とやり取りをされるのですね。
でしたら、今回はこの赤い子はいかがでしょう。この種類の子達は暑さや乾燥にとても強く、砂漠で伝書鳥として働くのに最適です。
ありがとうございます。
それでは準備をいたしますね。
あぁそういえば、以前買われたた子は元気にしていますか?
そうですか、よかったです。
あの青い子の種類の羽は特殊で雨をよく弾いて熱も逃さないんです。雨の多い地域には最適でょう?
あらすみません。こちらの話したいことばかり話してしまって。
また何かありましたら是非お声がけください。
他にも、長距離を飛べる緑の子や速く飛べる黄色の子等、様々な色とりどりの鳥達をご用意してお待ちしております。
雪
光が目に刺さる。
目を強く閉じ、今度はゆっくりと開けていく。
まだ目がチカチカするが、開けていられないほどではない。
「さて、行くか」
そう呟き、光を反射させてキラキラと光る雪を踏みしめ歩き出した。