「幸せに」
子供の頃、幼馴染を庇って障害が残った。
彼はうまくいかない日常生活を支えてくれた。心無い言葉を投げかける人から守ってくれた。自分がやりたくてもできない事は彼が代わりにやって感想を事細かに教えてくれた。
そんな生活が何年も続いたある日のことだ。
「今度、結婚するんだ」
「え?」
「少し前に出会った人と。だから、是非出席してほしいなって」
その後の会話は覚えていない。多分、当たり障りのない会話をして別れたんだと思う。
今思えば、何となく気付いていた。
彼が私の元を訪れる頻度が減っていたこと。見覚えのない、どちらかというと女性受けしそうなも物を身につける事が増えたこと。
それに気付いて不安になって、自分が彼に依存している事を自覚するのが怖かった。
そう、私は彼に依存している。彼の罪悪感につけ込んでずっと縛り付けてしまっていた。もう解放してあげないと。
どうか愛した人と幸せにーーー。
なんて願えるわけがない。
たった数年一緒にいた奴より私の方が彼を愛してる。彼だってこの数年間ずっと私を大切にしてくれていた。
やっぱりこれは何かの間違いだ。何か弱みを握られてるに違いない。
また私が彼を助けてあげないと。
3/31/2024, 12:28:35 PM