はじめて買ってもらった本。
たくさんの絵や地図と、
その説明が書いてある本。
子どもでも持ちやすい大きさで、
200ページもないボリュームだったけど、
嬉しくて飽きずに何度も読んだ。
ボロボロになって、抜けてしまったページもある。
だけど20年経った今もその本は棚でひっそりと眠っている。
私の数少ない幼少の品。
赤緑青の攻略本。
またいつか、冒険がしたい。
~好きな本~
降水確率40%
いい天気とは言えないまでも、
地面にはっきりと影を残す程度には晴れている。
(傘いらないかな?)
前はそんな風に高を括って降られたじゃないか。
だが、傘は荷物だ。
けっこうかさ張る荷物だ。
折り畳み傘を持っていく選択肢もあるが、
残念ながらこのウエストポーチには入らない。
少し風が涼しくなってきた。
影も薄くなってきている気がする。
あまりボサっとしている時間はなさそうだ。
今から急いで行けば降られずに済むかもしれない。
急ぐ?
なぜ急がないといけないのだろう。
わざわざ走っていくような用でもないのに。
それに走ったら疲れるじゃないか。
では素直に傘を持って行くか?
ただの野暮用で余計に手を埋めるのはポリシーに反する。
もし降らなければ徒労になってさらに最悪だ。
はあ、
そもそもこれは行かなければならない用なのか?
正直、行かなくても困らない。
とはいえ物足りなさを訴えている小腹を無視するのはつらい。
……ああ、
なんて私らしい天気なんだろう。
乱反射する曇天、気持ちが悪い。
ほら、今ポツってした。
やっぱり降るんじゃん。
なんか、今日はもういいや。
そういう気分じゃなくなっちゃったし。
~あいまいな空~
記憶の中で咲く色褪せた紫陽花。
オーソドックスな青紫の花々。
最後にちゃんと見たのはいつだったか。
高校に上がってからは見向きもしなくなって、
すると私がもっと幼い頃の記憶。
「これがあじさいかー」
それ以上の感想は特になかった気がする。
大きな花に見える部分だけで満足して、
小さな花なんてただの飾りだと思っていた。
今度、久しぶりにちゃんと見てみようかな。
あの頃の私に教えてあげなくちゃ。
~あじさい~
ラーメンが好き
だけど伸びた麺は嫌い
天ぷらが好き
だけどふやけた衣は嫌い
カレーが好き
だけど水っぽいルーは嫌い
マヨネーズが好き
だけど和え物は嫌い
何の取り柄もない自分が嫌い
だけど何かを好きでいる自分は好き
~好き嫌い~
この街が嫌いなわけではない。
しかし、ここで終わるのは嫌だ。
どうせいつかは滅ぶ命。
ならば好きだと思える地にこの身を置きたい。
彷徨い続ける人生。
最果てが安寧と願って。
~街~