正直、自分の人生は嫌いじゃない。
今までこの場を借りて何度も愚痴ってきたけど、
それでもなんやかんや楽しく生きられている。
前向きに過ごしていれば心は穏やかになるし、
研鑽を積んでいけばいつかチャンスはあるはずだから。
たくさん躓いたけど人生まだまだこれから。
そのうち生きてて良かったと思える日がきっと来る。
だから明日からも頑張っていこう。
ところで話は変わるけど、
「正直」って言葉はすごいよね。
頭に付けるだけであたかも本心のように聞こえるもの。
~正直~
6月といえば梅雨を連想する人が多いだろうが、
私にとって6月は最も恐ろしい月である。
理由はもちろん梅雨ではない。
雨で不機嫌になることはないし、
雨続きでも気が滅入ることはないからだ。
傘をしたところで濡れてしまうズボンの裾や、
靴に水が染み込んでぐちょぐちょになった靴下も、
ある一つの過酷な現実と比べれば些細なことだ。
どうしてだ?
どうして6月には祝日がないんだ?
~梅雨~
「今日、雨降るってよ」
隣に住む同級生のあいつは、雨が降る日は必ず教えてくれる。
少しでも雨が降りそうなら欠かさずメッセをくれる。
べつに一緒に登下校する仲でもないし、なぜかはわからない。
お父さんがテレビで天気予報を見てる時に私も見るから連絡は正直いらないけど、なんとなく面白くて従ってる。
まあ、ただの荷物になることもけっこう多いんだけどね。
「あれ? なにしてんの?」
ある日、帰ろうと下駄箱に行くとあいつが外を眺めていた。
サーっと雨が降っていて、あいつはカバンだけ持ってて――。
この世の終わりのような大袈裟な声音であいつは言った。
「傘、忘れた……」
呆れた。
今日の予報は晴れのち雨で、私には予報を教えたクセに自分が傘を忘れるとか、なんてマヌケなんだろう。
さっさと帰ろうと靴を履き替えて外に出て、言われた通り持ってきていた傘を開いた。
……。
「いいよ、入りなよ。どうせ隣なんだから」
こんなところ誰かに見られたら誤解されるじゃん、ってキョロキョロしながらも恐る恐る傘に入る様子はなんとも女々しい。
……ああ、もしかして。
毎回雨予報を知らせてくれる理由がわかった気がする。
でも、こっちからは絶対に聞いてやらない。
だって私が意識してるみたいじゃん。
~天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、~
「逃げてきた」わけじゃない。
目的地の見つけ方も、
そこに向かう方法も、
上手に走る方法も、
何も教わらなかっただけ。
幸か不幸か、
目的地を見つけてしまったら、
一心不乱に走るしかない。
巨大なハンデは絶対に覆せない、
遠すぎてもう間に合わないとわかっていても、
この砂漠のど真ん中で堅実なミイラになるよりはマシ。
~ただ、必死に走る私。何かから逃げるように。~
嫌い。
謝罪なんて頼んでない。
何度も繰り返して謝って、
向こうは楽なもんだね。
謝ってどうするの?
反吐が出る。
何もできないから、
頭下げて満足してさ。
空っぽの言葉ばかり、
私をバカにしてるの?
ただ口で謝るだけ。
人をまるで不良品みたいに。
……うん、もう大丈夫。
聞いてくれてありがとう。
いつもいつも本当に――。
~「ごめんね」~