いつもありがとう

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「今日、雨降るってよ」

隣に住む同級生のあいつは、雨が降る日は必ず教えてくれる。
少しでも雨が降りそうなら欠かさずメッセをくれる。
べつに一緒に登下校する仲でもないし、なぜかはわからない。
お父さんがテレビで天気予報を見てる時に私も見るから連絡は正直いらないけど、なんとなく面白くて従ってる。
まあ、ただの荷物になることもけっこう多いんだけどね。

「あれ? なにしてんの?」

ある日、帰ろうと下駄箱に行くとあいつが外を眺めていた。
サーっと雨が降っていて、あいつはカバンだけ持ってて――。
この世の終わりのような大袈裟な声音であいつは言った。

「傘、忘れた……」

呆れた。
今日の予報は晴れのち雨で、私には予報を教えたクセに自分が傘を忘れるとか、なんてマヌケなんだろう。
さっさと帰ろうと靴を履き替えて外に出て、言われた通り持ってきていた傘を開いた。
……。

「いいよ、入りなよ。どうせ隣なんだから」

こんなところ誰かに見られたら誤解されるじゃん、ってキョロキョロしながらも恐る恐る傘に入る様子はなんとも女々しい。

……ああ、もしかして。
毎回雨予報を知らせてくれる理由がわかった気がする。
でも、こっちからは絶対に聞いてやらない。
だって私が意識してるみたいじゃん。


~天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、~

6/1/2023, 8:37:20 AM