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1/16/2025, 2:37:01 PM

【透明ななみだ】


毎日いろいろなことを考えるけれど
その部分をとても素敵だと言ってくれるのは
思慮深く、嘘がない、
とても好ましいと言ってくれるのは
あなたとあなただけです

1/16/2025, 3:27:25 AM

【あなたのもとへ】


手紙を書く
なんでもない日常、
言葉にしないと消えていく毎日を
あなたに宛てて記していく
からすの楽しそうな鳴き声
雨の日に水びたしになる公園
あの子の可笑しい毎日
読んできっとほほ笑むひと

あなたの代わりをつくってしまわないように
細心の注意をはらう

とどけ、空のむこうへ
どうか、見ていますように

そしていまも私は
あなたの知っている私だろうか

1/14/2025, 11:47:48 AM

【そっと】


眠っているうさぎの鼻にさわる
水面に触れる
子どもの布団をかけ直す
きみのまつ毛を見つめる
ドアをしめる
涙をぬぐう

繊細なところ、敏感なところ
驚かせないように
怖がらせないように
痛くないように
そっと、そっと

1/14/2025, 3:37:54 AM

【まだ見ぬ景色】


人との出会いはそういうものだと、
最近やっとわかった
もっと大きくいえば、人生ってそういうものだと

誰も彼もそんなふうに語っていたし、
世間も歌っていたし、説いていたけど
やっぱ自分で経験しないことには
そんで経験したあとで言えることは
やっぱりそんなかんじになるんだなって
常套句って、すごいな

きっとその言葉から想像するほどいいものではないけど、警戒するほど悪くもないよ
きっとぶあつい壁を通るあいだにも、ちょっと
怖気づくほどの景色があるけど
それもおそらくまた初めて見る景色で
そこまで行っても、具体的ななにかを
まだ見ぬ景色の完成形として描くなら、
会いたい景色がはっきりとあるのなら、
それに出会うまで行こうか、どこまでも

1/9/2025, 2:15:19 PM

【星のかけら】


没入体験というのが、いっとき話題でしたね
今もでしょうか 恥ずかしながら流行には疎くて
小学校のグラウンドに寝転んで、夜空を眺めたことがあります
田舎なので街のあかりはほとんどなく、
住宅のあかりだけが眼下にちらちらと見える程度
よく晴れた夏の夜でした

流星群が見られるというので、知人と、いくつかの人影にまぎれてやって来たのです
見上げた空間に無数の光る点々
大きいもの、小さいもの、集まって大きく見えるもの、ぼんやり雲のように光るもの
夜空という天井にそれらが貼り付いているわけではないことを、大人である私は知っていました
ずっとずっと遠く、気が遠くなるほど遠くに、あの点はある、こんなにもたくさん
永遠に手が届かない場所、巨大な恒星、
暗闇の中でそんな途方もない事実に思いを馳せると、
まるで空に落ちていくようでした
寝転んでいたので、足の裏が地面から離れていたからでしょうね
でもあれは、浪漫とかではなく、恐怖です
もちろん没入でもない
小さすぎる自分とこの星の歴史を想像して、
漠然とした、それでいて深い、逃げられない大きな静寂に慄きました
まだその事実を知らない我が子が、羨ましくなりました

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