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【星のかけら】


没入体験というのが、いっとき話題でしたね
今もでしょうか 恥ずかしながら流行には疎くて
小学校のグラウンドに寝転んで、夜空を眺めたことがあります
田舎なので街のあかりはほとんどなく、
住宅のあかりだけが眼下にちらちらと見える程度
よく晴れた夏の夜でした

流星群が見られるというので、知人と、いくつかの人影にまぎれてやって来たのです
見上げた空間に無数の光る点々
大きいもの、小さいもの、集まって大きく見えるもの、ぼんやり雲のように光るもの
夜空という天井にそれらが貼り付いているわけではないことを、大人である私は知っていました
ずっとずっと遠く、気が遠くなるほど遠くに、あの点はある、こんなにもたくさん
永遠に手が届かない場所、巨大な恒星、
暗闇の中でそんな途方もない事実に思いを馳せると、
まるで空に落ちていくようでした
寝転んでいたので、足の裏が地面から離れていたからでしょうね
でもあれは、浪漫とかではなく、恐怖です
もちろん没入でもない
小さすぎる自分とこの星の歴史を想像して、
漠然とした、それでいて深い、逃げられない大きな静寂に慄きました
まだその事実を知らない我が子が、羨ましくなりました

1/9/2025, 2:15:19 PM