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7/5/2024, 3:34:43 AM

【神様だけが知っている】


毎日、毎秒くりかえされる選択で、私たちの人生は作られていく
些細な判断から大きな決断まで、
いつもなにかしらの選択をしながら道を決めていく
エンターキーを押すのか、読点を打つのか
下着をベージュにするか、黒にするか
こしあんにするか、つぶあんにするか
産経にするか、日経にするか
コーヒーにするか、黒烏龍茶にするか
あの角を曲がるか、この角を曲がるか
点滅信号を渡るか、止まるか、
右に視線を向けるか、向けないか
まぁとにかく無数の選択をしながら生きてる

反対の選択をしたら、道は今と大きく違っていた
もう一方の道は、神様だけが知っている
だけどパラレルワールドってあるらしいね
つまり世界は無数にあるってことだ
宇宙みたいだな

7/2/2024, 11:51:27 AM

【日差し】


その日は薄曇りで、
決して日差しが強いわけじゃなかった
いや、むしろ日差しは弱かった
日傘だって要るか要らないかの境目で
だから油断したんだ
心を開いてしまった
肌にはくっきりと、日焼けの跡
みんなに平等にふりそそく日光で
勝手に火傷なんてはずかしい
私だけ打たれ弱いみたいで
私だけ幼かったみたいで

そのときはいつだってすこしずつ近づいてくる
それと気づかないほどゆっくりと
当たり前の顔をして
そして、気づいたときにはもう引き返せない

ヒリヒリ火傷に軟膏をぬりこむ
痛かったことにすら、いま初めて気づく
まだ赤い
いつまでも赤みが消えない

7/1/2024, 2:13:14 PM

【窓越しに見えるのは】


校舎の三階の窓辺にすわって勉強していた。
解き終わった後に顔を上げて、ちょっと外を眺める。
夕暮れの空を見て、マロニエの並木を見て、グランドを走り抜ける姿勢の良い君を見る。
あぁ、なんて綺麗なフォーム。

6/29/2024, 11:31:21 AM

【入道雲】


とあるひとにすっかり心を占領された
見れば見るほどなんて神秘的
あのひとのちかくに行きたいな
あのひとに触れてみたいな
そんなことを思う自分が浅ましく疎ましい

むくむくと頭をもたげるその思いは罪悪感にも似て
こわいから制服のしたに隠して帰ろう
だれにも見つからないように
だれにも見つからないように

6/28/2024, 11:44:14 AM

【夏】


夏が好きじゃない。
きらいなわけじゃない。好きじゃないだけ。
四季の中で唯一、思い入れがない季節。
思い出も特にない。だから思い返しても香りがしない。せつなさなのない季節なんて。
芳醇な香りのする季節が好きだ。
つまり、初夏も、晩夏も好きだ。
盛夏は、想像するだけでくたびれてくる。

夏の風という歌を、小学校時代に習った。
夏にふき込んでくる風の爽やかさ、清涼感。
無邪気に空中を走り回って、樹の枝を大きく揺らす。
雲を走らせ雨を呼び寄せ、雷をつれてくる。
ただ夏の風を褒め称え、おもしろがってる歌。

その歌だけが、私の夏だ。

あぁ、でも、
祖母の家の土間の向こうに見えた赤い花は覚えてる。
夏の真っ白な日光の下で、やたら鮮明に咲く赤い花。

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