私は、愛されるのに慣れてしまい、
既に愛されているのに気づかなかった。
「終わりにしよう。」
そういったのは私だった。
前を歩くあなたを追いかけるのに疲れてしまった。
私を見てくれないあなたに疲れてしまった。
彼女という肩書きが欲しかっただけのあなたに
疲れてしまった。
…自分の身を守るために終わりにする。
「終わりにしよう。」
そういったのは彼女だった。
常に僕の前を歩く君を追いかけていた。
友達と話す度「惚気け」と言われた。
君は彼氏という人が欲しいだけだったかもしれないけれども、僕は結構君のことを愛していた。
…もし終わりにならないのなら幸せにしてやりたい。
手を取り合って支え会えていたら、
今頃どれだけの幸せを感じちゃっていたのだろう。
お砂糖いっぱい?
それとも、お塩ひとつまみ?
どれくらいだったのだろう。
ただ、甘くて甘くて胸が苦しいくらい幸せになってしまったら
私はもうそれ以上を欲しがってしまうから。
…苦くて少し甘い、今の幸せくらいがちょうどいい。
これまでずっと隠してきたけど。
私、実はあなたのことだーいすきだった。
そう、大好きだったんだよ。
…へへ、知らなかったでしょ。
1件のLINE
私は私が生まれてきた理由が何一つ分からなかった。
私は私がこの世界で最も憎かった。
このなよなよしたとこも、メンタルの弱さも、運動神経の悪さも、勉強ができないところも。嫌いだった。
ただ、そんな私にも毎年1回の楽しみがある。
それは私の誕生日。
周りにとってはなんてことない普通の日で、私だけが浮かれる日。
そんな日に、親から毎年1件LINEメッセージが届く。
生まれてきてくれてありがとうだの、可愛らしいだの、優しいだの、頑張ってだの、あなたらしくいなさいだの、ここの家族になってくれてありがとうだの。
親の《愛》が、私の目に映る日。
だから大好き。