太陽の下はきっと心地がいいのでしょう。だってあなたが笑っているから。
私のとって太陽にあたるのは危険極まりないことです。
目を焼き肌を爛れさせ元には戻りません。
仲間が好奇心に任せて太陽にあたったのです。
誰もが恐ろしさのあまり水面に上りたがりません。
それは私もです。
でも、太陽のように眩いあなたがいる日の元は、たまに夢見るのです。
そこに、私が居れたらと。
セーターを買った。
それも好きな人が来ていたのと同じセーター。量販店でよく見る色と形。それでも彼が着ていた。私にはそれだけで価値がある。
次の日に着ていくことを決めた。
決めた次の日に後悔した。
彼は全く違うセーターを着ていたのだ。
彼の趣味とは違うセーター。
ちょっとだけはにかんだ顔をして。
落ちていく。
なにも重力に従った移動だけが落ちることではない。
地位から、身分から、権力から。良識から。
人はありとあらゆるものから落ちていく。
時に意図的に無意識に。
無意識だったとしたら滑稽で、意図的だったとしたら垂涎のひととき。
落ちろ堕ちろ墜ちていけ。
なにもかも。
落ちていく。
娘のように可愛がっていたインコを友達のインコと見合いをさせた。
好奇心旺盛で社交的な性格の愛娘はすぐにお見合い相手に近づき挨拶を交わす。お相手は戸惑っていたが目を話した隙に遊び出した。
飼い主二人はお見合いの定番、あとはお若い二人でと距離をとろうとすれば二羽はピーチクパーチク鳴き出す。どこ行くの一緒に居てと引き止める。
少し予想していたがお見合いの認識がないのだ。
まだ学生の身で母親気分だ。
しっかりなさい。どうなの。いい人じゃない。
そう頭をかいてやる。だが親の心なんとやらで遊んでもらえているとじゃれつく。
まったく。
呆れながら本日は御開きかとケースを開けるとなかなか入ろうとしない。なんとか入れると互いに向かって鳴いている。
どうやらお見合いは成功してのようである。
どうすればいいの?
君の瞳が問いかける。
期待と希望の瞳。私を罪悪感と絶望に追い詰めると知らない瞳。
どうしようもなかった。どうすることもできなかった。
答えに詰まる。答えようがない。だが確実に時間も差し迫っている。
ついに追い詰められた私は答えを先延ばしにした。
この選択が最善だと信じて。