Layman

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4/24/2023, 3:48:33 PM

人によって、ルールとは意味を変えるものだと私は思う。ある人は自分を律するため、またある人は過去の失敗を二度と犯さないために、そして忘れてはいけないのは、何にも依存できずに、独りよがりな信条に依存してしまった人達。その実獣道であるのにそれが線路であると信じて疑わない。いや、もしかしたら後ろ指を差して聴衆に徹する他の誰よりも、心底を巣食う疑心の存在を感じているのかも。ただ目を伏せっているだけなんだ。でもそうするといずれ自我は分裂していく。ポロポロ何かを切り崩しながら、きっと何かにたどり着いたとしてもそこにあるのは悟りの境地でも、ましてや意味深なカーテンコールさえもなくて、遠く遠くに置いてきてしまった、まだ小さな少年を今更思い出す、蜃気楼な自分のみかもしれない。
ああ、やな枷だ。返しもついてなくて、今にも腕をすり抜けていきそうなのに。いつかの温もりを取り戻すのではないかと握って、祈っている。役たたずめ、鎖のくせに遊離する愛は繋ぎとめてはいられないんだ。

4/23/2023, 1:50:01 PM

今日も今日とて、人の情の不条理さを嘆いている。
他人の心無い言葉なら、閉じこもってさえいればやり過ごせる。
私は今、虚弱に甘んじている自分の心を憎んでいる。
冷徹は強さだなんて言う人がいるけれどそれは真っ赤な嘘だ。自分の純情を優しく抱いて、それを原動力に重い体を持ち上げる、それこそが真人間の姿だと思う。それすらできないのがこの、不潔、ひいては卑屈を極めた私なのだ。
自分を信じてくれる人さえ疑いにかかり、大衆を巻き込んでまで彼女を試そうとする。
先述の、真人間であることを証明するがために。
人一倍の執着を持つ分、それにそぐわない自分が恨めしい。いや、果たしてそうか。そんな偏屈を通り越して私は、自己の不甲斐なさを他人や、ましてやあの子のせいにしてしまってはないだろうか。
いっその事、自分を人でなしだと認めて畜生道に身を落とせばいいのだろう。
それでもなお純愛にこだわり続けるのは何故だろう。信条は既に、強迫観念にすげ変わっているのかもしれない。
今も鼻腔には甘い匂いが染み付いている。気道を丸ごと焼き潰すような甘い匂い、彼女じゃない、そこらの木偶人形から絞り出した濃い蜜の匂い。
彼女のことを思い出そうとする足掻くほど、酒池と肉林が視界を覆っていく。
今感じているのは虚しさを孕んだ高揚感と、自分が虫になりつつあることへの、ただ冷たい恐怖心、それのみである。