残酷なほどの 眩しさ!
いくら 人類が成長し 進化しようとも
私を 飼い慣らすことは できないだろう
震えるほどの 熱さ!
すでにもう 四季の論理は崩れている
蝉は異常を察知し 耳をつんざく叫び声をあげる
どれほど豊かになろうが
(世界中の貧困に苦しむ人々への支援を呼びかける
コマーシャル が 流れております
その直後に 我々は 痩せるための 薬を
宣伝、いたします)
私に 直接触れることはできない
どこに逃げようとも
私の光を避けることはできない
(透明色のブルーライトカットメガネは、
当社の売りであります—)
戦慄せよ!
「太陽」と名付けられようが 崇められようが
私を 淘汰することは できないのだ
———「私の名前」———
音、煙、音、残響、光。
反射、横顔、笑顔。
暗闇が少し明るくなって
煙が上がって 白くなって
パラ、パラと落ちていく
色とりどりの花びら
花びらが重なって 夜空には花畑が紡がれる
「まるでトレモロみたいだね」だって
気取っているの? 隣にいるお馬鹿さん
紅い火花たちが チカチカと突き抜けて
夜空に 絵を描く
「フェルメールも敵わないよ」だって
カッコつけているの?お馬鹿さん
◇
気づいてほしい 見ないでほしい
新しいルージュ
すこし すこし
いつもより すこし 明るい色なんだ
消えていく花びら
はやくこっち見てよ、でも気づかないで
私だけの お馬鹿さん
夜空の花に夢中の 間抜けなお馬鹿さん
-——「視線の先には」——
いわゆるドラッグストアに行くと、
買ったものを「食べ物系」と「その他」に分類し、
袋を分けたくなります。
すなわち、「食べ物系」はその名の通り、
・コンビニエンスストアのおよそ2分の1の値段で
売られているスナック菓子
・なぜかレジ横にたたずむ、きゅうり
(絶妙な細さと安さが魅力的ではあります)
・ゴマ多め(添加物も多め)のワカメスープ
・そんなには要らない紙コップ、
コスパ不明のラップ
などを入れるわけであります。
一方の「その他」には、
食べ物とは共にしたくはないもの——
・排水溝クリーナー(まぜるな、と書かれてあります)
・すでに香りの溢れている柔軟剤
などが挙げられますでしょう。
しかしながら、
・口に含むがすぐに出す、うがい薬や歯磨き粉
・目に投与する、目薬
などは、何となく
「その他」でもなく「食べ物」でもなく、
かといって、そのまま手で持って帰る勇気もなく、
SDGsに反すと理解しつつも、小ビニール袋を拝借し
3つ目の袋が誕生してしまうわけであります
(そして大抵は、惨めにも破けるのですが)。
#私だけ?
古びた旅館の 売店に
君は 並んで いた
パーマのかかったような 茶色の毛の
くま の ぬいぐるみ
◇
瞳は茶色く
首に巻いてある リボンさえも 茶色く
ぼくは まばたきをしない 君を
「バリバリ」と音のなる 財布に入れてある
祖母からもらった せんべつ で 買うことにした
◇
それから ぼくは 旅に出るたびに
君を手提げに忍ばせた
「荷物になるだろう」 と 親に言われても
君と 記憶を 培った
◇
君を お風呂にも入れて
もこ、もこと 泡を立てて洗った
脇の糸がほつれた時は
「緊急手術」を 行った
◇
君は 今 押し入れにいるだろう、か
過去の記憶を遡り 懐かしがっているだろうか
その点で やはり 僕たちは
似たもの同士と いえるだろうか
アンモナイトが泳いで
トリケラトプスが駆け抜ける
(死後化石になる、なんて
誰が思っていただろうか?)
まだ言葉のないころから
(厳密には コミュニケーションはあったと
研究者は騒ぐかも しれないね)
日は上り また沈む
おすすめ動画を見終わったとしても
ただ画面をスクロールしたとしても
充電1%で 充電器を探したとしても
日は上り また沈む
人類がいかに進化しようとも
(すなわちスマートフォン以上の進化がある、
というわけでありますが)
誰かがそれに飽きようとも
ピアニストがまた1人 歴史になったとしても
日は上り また沈む