あの日の温もり
ただいまと言うと、おかえりと返ってきた。夕ご飯を作ってくれたのか、美味しそうな匂いがする。
今日もお疲れさまと彼は笑う。その広い胸に抱きついた。
——目を開けると、いつもの天井だった。
ああ、あれは夢だったのか。
自分の中で落とし込んだつもりだった感情が一気に溢れてきた。どんなに泣きわめいても、もう戻ってこないのに。
cute!
ふわふわの毛並みと丸くくりっとした瞳。にゃあと鳴きながらきまぐれに擦り寄ってくるこの子の特等席はわたしの隣。
今日もわたしの隣に丸まって一緒に眠る。
手紙の行方
お元気ですか。
今何をしていますか。勉強はしていますか。それとも、別のことをしているのかな。
今でもまだしゅみは続けていますか。
ぼくは、毎日学校に行って、勉強して、たくさんの友だちと楽しく過ごしています。あと、しゅみと部活をがんばっています。
あなたはどうかな。いっぱい大変だとはおもうけど、がんばってください。ぼくもがんばります。
これからのあなたが、元気で幸せでありますように。
20さいの自分へ タイムカプセルに入れて
***
タイムカプセルは絶対行方不明になります
輝き
彼の打席に応援歌が響き渡る。相手に1点リードを許し4-3で迎えた9回裏。2本のヒットと進塁打、与四球で繋いだ一死満塁、サヨナラのチャンス。ここで決めてくれと、誰もが思った。
投手が振りかぶって投げた球を、彼のバットが捉えた。インコース高めのストレートだった。打球は右中間を割って転々とする。その間にランナーが1人、そしてもう1人がホームベースを踏むと、一気に客席が歓喜に沸き立った。彼の冴える一振りがチームを勝利に導いたのだ。
中心で水をかけられる彼はひどく輝いていた。
***
応援の気持ちを込めて。
E#6 村林一輝選手をイメージ。
時間よ止まれ
あなたに褒められて髪を撫でられるとき、この時間が止まればいいと思う。
あなたと過ごす時間が永遠に続けばいいのに。
あなたから、今度いつ会える? なんて言葉聞きたくない。その言葉を聞いたら、あなたはわたしでない誰かのものに戻ってしまうから。