冬山210

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2/28/2023, 5:18:54 PM

『遠くの街へ』

遠くの街へ出掛けるの。
お気に入りのワンピースを着て。

貴方にもらった指輪をはめて、
貴方にもらった香水をつけて、
何処か遠いところへ行くのよ。

貴方と通ったカフェも、
貴方と座ったベンチも、
貴方と歩いた道もない。
貴方の居ない街へ行くの。

きっと私はそこで、
見たこともないような景色を見て、
食べたこともないようなご飯を食べて、
聞いたこともないような体験を沢山するのだわ。

それはさぞかし楽しいことでしょうね。

けれど私は、
見たこともないような景色を見たとき、
食べたこともないようなご飯を食べたとき、
隣に居るはずの貴方を思い出してしまうのよ。

「貴方なら何て言うかしら」
「貴方にも見せてあげたいわ」
「貴方はこっちの方が好きそうね」

そんなことを思いながら知らない街を歩くの。
まるで恋する乙女のようにね。

2/24/2023, 5:59:24 PM

『小さな命』

命に小さいも大きいもないと思う。

死後の世界があるならば、
人間は等しく裁かれる筈なんだ。
産まれてすぐに亡くなった赤子を除いてな。

生きている限り何かの命を奪わずにはいられない。
大抵の場合それは自分の命を守るために必要なことだ。
健康のためには肉や魚を食べた方が良いし、
自分の身を襲う恐れのある害獣は排除した方が良い。
虫だって害をなすなら排除した方が良い。
まぁ、僕たちは害をなさない虫だって排除するけど。

命を奪うという罪を犯したことのない人間なんて、
この世には居ないと思う。
直接的ではないとしても、間接的には犯してる。
だってそれが生きるってことだから。
生きることは罪なんだよ。

というのはまぁ、
命を奪うことは罪だと感じている僕の考えでしかない。
僕は魚も肉も大好きだし、虫は大嫌い。
だから死後は確実に罪に問われます。
あな恐ろしや。

2/22/2023, 7:53:20 PM

『太陽のような』

眩しくてとても直視できない。
熱くてとても近寄れない。
大きくてとても包み込めない。
なら、貴方はずっと一人なの?

誰が貴方の頭を撫でて、
誰が貴方の隣で笑って、
誰が貴方の体を抱きしめて、
誰が貴方の涙を拭う?

溢れんばかりのエネルギーを抱えて、
この世に光をもたらして。
でもきっと貴方にそんなつもりは一切なくて、
ただ存在しているだけなんだ。

1/27/2023, 8:14:57 PM

『優しさ』

「君にはこれが似合うよ」って言ったのは、
優しさなんかじゃなくてもっと醜いもので、
彼奴の好みの格好なんてさせたくなかったからなんだ。

1/24/2023, 3:57:31 AM

『こんな夢を見た』

お姫様になる夢を見た。

少女漫画みたいな恋をして、
好きな人と結ばれる夢を見た。

魔法使いになる夢を見た。

探偵になる夢を見た。

小説家になる夢を見た。

二次元へトリップする夢を見た。

どこかに自分の分身が存在している夢を見た。

実況者になる夢を見た。

小説家になる夢を見た。

いつか誰かが救ってくれる夢を見た。

ニートになる夢を見た。

自分が考えた作品が世に出る夢を見た。

小説家になる夢を見た。

推しに終わらせてもらう夢を見た。

もの好きな愛好家に飼われる夢を見た。

楽に生きていく夢を見た。

夢を見る夢を見た。

夢を見る夢を見た。

小説家になる夢を見た。

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