『子供のように』
子供のように振る舞う私を受け入れてくれる人がいる。
もう大学生だけれど、私は末っ子なわけで。
家の中での私は甘えることを許されている。
それがとても有難い。
私にはたった二人だけしか友達がいないけれど、
その二人とは小学生の頃からの仲でして。
もう大学生なのに、お手手で狐作って遊ぶのよ。
ぱくぱく口を動かして、相手のお耳を食べちゃうの。
「うわぁ〜!」って悲鳴をあげてるの。
子供っぽいよね。
「大学生にもなって何してんだ」って笑い合うの。
それができる相手がいることは幸福だと思う。
もうお酒が飲めちゃう歳だけれど、
いつまで経っても精神年齢は幼稚園児みたいなもので。
外見に合ったことをするのは疲れるの。
年齢に合ったことをするのは苦痛なの。
『カーテン』
風でカーテンが大きく膨らんだり、
逆に窓の外へと引かれたりするのを見て、
僕の友達は「カーテンが呼吸している」と言うのです。
素敵な考えだと思った。
『窓から見える景色』
窓から見える景色は本物なのだろうか。
窓枠で切り取られた世界は、額縁の中の絵のようで。
どこまでも続く大きな空や、遠くに見える山々が、
本当に実在しているものだとは思えないんだ。
だってあの、いつも見ている住宅街。
昔から変わらずそこにあるけれど、私はそこまで行ったことがないから、どんな人達が住んでいるところなのか全く分からないんだ。
窓から見える景色。
それは行ったことのない場所。
それは名前も分からないような場所。
形だけあって中身が無いの。
想像もできないよ。世界はちょっと広すぎる。
『形の無いもの』
木々の間を楽しそうに駆けていくのは小さな女の子。
白いワンピースと長い髪を揺らしてる。
屋上とか街灯の上とか、
やたら高い所が好きなのは二人の青年。
一人は極力動かないでいたい無気力系。
もう一人は忍者みたいな動きをする変な奴。
が、いるという設定で俺は大学へ行っている。
姿も見えない形の無いものだけど、
ただの俺の妄想だけど、
それがあるから大学行けてるんだわ。
空想でも良いだろ。
『大事にしたい』
幸いは俺を愛してくれたこと。
俺の駄目なところも悪いところも全部俺は知っているのに、こんな奴消えちゃえって思っていたのに、俺は結局俺を愛してくれた。
消える勇気がなかった代わりに、臆病な私は私が生きやすいように他の道を作ってくれた。肯定してくれた。
最強の味方を作り出したんだ。
他者は怖いし死も怖いけど、俺だけは怖くない。
存分に甘やかして堕落させて、駄目な俺を俺が作って、そうしてできた私を私は愛してくれる。
大事にしたいのは私だけ。
大事にしてくれるのも私だけ。
一番をくれるから、一番を返すの。