4/18/2023, 3:06:18 AM
題.桜散る
桜の木の下。筆を構えて、持ってきた短冊をにらみつけてもそこに文字が現れる気配は一向に無い。
この脳内の創作意欲が枯渇していた。表現のかけらさえ浮かびそうにはない、せっかくこんなところまで来たのに。
喉の奥につまるものが苦しくなり、あきらめて、天を仰いだ。見えるはずの青空を桜が覆い尽くしている。
よく見ると枝先のほうはもう、若い青色の葉になっていた。
桜が散っている。舞っているようにも見えるし、踊っているようにも見える。
今のわたしには、それだけしか浮かばない。
どんな文章が生まれたとしても、既に先人の文豪たちに奪われていた気がする。ありったけの言葉を並べても足りない。
苦しい。この身に、この心に、溢れる感情をはやく形にして、楽にしてあげないと。
そう思うのに、筆が動かない。せっかく浸した墨も行き場をなくしている。
後日。わたしは遠くに行った、二度とあの桜に邂逅を遂げられないところまで。
お医者さまは原因不明でただの自尽だったと判断したが、わたしの恩師は「倦怠期」という病にかかっていたと話したそうな。
4/17/2023, 9:58:14 AM
題.ここではない、どこかで
また逢えるといいね。
三途の水が溢れてなければ。
古今和歌集 哀傷 829番
4/16/2023, 4:19:01 AM
題.届かぬ想い
今は背伸びしても届かないだけ、だから。
いつか僕に気付いてくれたら
そのときは伝えていいですか。
小倉百人一首 77番
4/15/2023, 9:09:45 AM
題.神様へ
知らないことも、
分からないことも、
見えないことも、
あなたにだってあるでしょう。
4/14/2023, 5:32:53 AM
題.快晴
あの白色の奥にある、群青色が
恋しくてたまらない。
いつになったら晴れるだろうか。