色という概念を知らなければ、
この世界もそれなりに楽しかったのに。
あなたという色を知ってしまってから、
何も無い世界がとても退屈に思えるの。
作者の自我コーナー
残り時間5分とかで書き殴ったものです。
無色ってことは、黒もないんじゃない?無彩色のこと?
透明ってことかしら?って全然定まらなかったのでとっても抽象的な文になりました。最近お題がムズい。
「桜、散ってもうたな」
「へ?……あぁ、昨日の大雨でほとんどいかれてもうたな」
いきなり声をかけられて素っ頓狂な声が出た。
俺に対しての言葉なのかも定かでは無いが、
俺と違い独り言を言うタイプでもない。
「……なんやねん、ニヤニヤして」
「いんやぁ、別に?あんたにも桜を愛でる情緒があるんやなぁ思て」
「俺も大人になってもうたってことやな」
「なんでちょっと嫌そうやねんな」
俺からするとずっとあんたは子どもで、お兄ちゃんだった。
永遠のピーターパン。見た目もやけど、性格も変わらない。
「ガキの頃は動かんもん見て何がおもろいねんって思ってたけどなぁ、ちょっと切ななんもん」
「「なんでやろなぁ……」…ちょお、被らせに来んなやお前!」
「いややってあんた!フリがむちゃくちゃやもん!どこに接続してんねん!」
「いやでもあれですよ、桜が散ると寂しくなるのはほんまですよ。いつかは散るもんやけど雨風とか理不尽やんか。もうちょっと気ぃつこたってもええのになぁって」
ご自慢の唇をむにと突き出すと、お気に入りのコーヒーショップの一番大きいサイズのブラックを飲んだ。
そういうとこは変わったのかもしれへんな。かなり遠回しだとしても、この人は弱音を吐けるようになった。
「桜の花から葉桜なるだけやん。切り倒されたわけとちゃうやろ?また来年の今頃になったら大輪の花咲かせてくれるやんか。次咲かせるために散るねん、次の出会いのための別れや。必要な過程やがな」
実際は病気にかかる可能性もあり、来年拝めるかは微妙なところではあるが、今は必要な情報では無い。
「相変わらずポジティブやなお前は」
「そこが唯一のええとこやからな」
「なんでそこだけそないネガティブやねん、いっぱいあるわ!」
自分の事のように顔を赤くして、ムキになる。
でも、結局照れ屋やから言うてくれはせえへんねん。
嗚呼やっぱり変わらない。
『桜散る』
(咲いても散っても桜は桜、君は君)
作者の自我コーナー
いつもの。
なんでやろなぁ……桜見ると切ななんねん、です。
自分のことになると卑屈になる彼を全力で否定するあの人が好きです。輪廻と一蓮托生という裏テーマ。
8人の夢を見た。なつかしい記憶だ。
もう俺たちの原型なんて誰が覚えているのだろう。
振り返りの映像でですら切り取られてしまう存在。
もちろん、覚えている。
だからこそ俺たちはこの数字に拘り続けたのだ。
世界中の人間が忘れても、俺達は忘れるまいと。
でもなんで今更そんな夢を。
もう過去は振り返らないと、未練などないと思っていたのに。
『夢見る心』
(俺も知らない俺の心)
作者の自我コーナー
夢を見る深層心理のお話。でも夢見た心も夢見る心も積み重なって自分になるんですよね。
夢は自分を叶えるために生まれた証だからって歌詞が好きです。
言葉の要らん関係。
そう思ってたのは俺だけやったんやろうか。
なんでも伝わると思ってた、なんでも知ってると思ってた。
分かることに胡座をかいて、言葉を尽くさなかったからかな。
あいつの不安に気づけへんかった。
ずっと好きやと思ってた、一緒やと思ってたから、
そばに居るだけで熱と一緒に気持ちも伝播してると思ってた。
見てるようで見えてへんかったんやな。俺もあいつも。
テーブルに置かれたお揃いのキーケース。
俺これになってからいっこも鍵無くしてへんねん。そういうのもちゃんと言うたらよかったんかなぁ。
『届かぬ思い』
(それを俺に言わんとヒナに直接言え言うてんねんボケ!)
作者の自我コーナー
いつもの。言葉足らずでも伝わるのがおふたりなんですけど。
でも時々お互いそう思い過ぎてるけど、他のメンバーの方がわかってる時あるよね?って思う時があります。
その不安すらもお互いには言わないんだろうな。面倒ですね。
閲覧注意
弟の背中には羽根がある。某デュオの曲名みたいだが、
本当の話だ。信じられない?こっちも信じたくなかった。
俺の弟には天使の羽根が生えている。
昔から色んなものに好かれやすい奴だとは思っていた。
かといって、そんなものにまで好かれるとは思わないじゃないか。お菓子に釣られて日曜礼拝に行ったかと思えば、背中にそんなものをつけて帰ってきたのだ。ショタコンなん?あいつ。
いつも通り一緒に風呂に入った時、痣のようなものを見つけた。おそらく、羽根の生え際だったのだろう。
それから弟は『天使』のような子になった。
もともと優しい子ではあった、困った人が居たら助けずには居られない。それで学校を遅刻して怒られる損な奴。
そんなだから、つけ込まれるのだ。得体の知れないモノに。
『天使』
高一のある時、いつも通り弟が善行を積んでいたら見知らぬ老婆が弟の手を握って言った言葉。
ガッと後ろから頭を殴られた気分になった。
もう猶予は残されていなかった。弟の手を引っ張った。
そこからは、あまり覚えていない。
シャワーの音と弟の泣き叫ぶ声、まだ声変わりしていない高い声が掠れるのが痛々しくて、未だに兄に助けを求めようとするお前が滑稽で可愛そうだった。
完全に覚醒したのは全てが終わったあとだった。
四肢をぐったりと投げ出した弟をベッドまで抱きかかえて体を清めた。
夥しい量の朱と白が、壮絶さを思い知らされる。
いっぱい泣かせてもうたなぁ、明日声枯れてるんちゃうか。
行為に対しての反省はあれど、後悔は全くなくて。
ひっどい兄ちゃんやなぁと我ながら思った。
背中に手を伸ばす。こんな行為の後なのに、真っ白い羽根は穢れることなく、神聖さを帯びている。
俺なんかがなんかしたところで関係ないんだろうか。
ごめんなぁ悪い兄ちゃんで、もう一個傷つけるわ。心の中で謝ってから、綺麗な羽根をちぎって呑み込んだ。
本当は羽を切断出来ればよかったが、どこにくっついてるかも分からないし、それを切ったことで弟に何かあったらと思うと出来なかった。
羽根はわたがしみたいに口の中で溶けていった。
甘くて、罪の味とはこれかと思った。
ぱちりと弟が目を開く。何を言ったらいいのか分からず、口を噤む俺に弟はキスをした。
「おはよう、きみくん」
その日弟の声変わりが始まった。
『神様へ
先日は厄介なプレゼントをありがとう。
後で弟と半分こして食べました。二人で食べると
もっと美味しかったです。
追伸 お前なんぞに弟はやらん。』
作者の自我コーナー
いつものパロ。
これぐらい独占欲が強いと思っています。あと自分に見えないものは信じない方なので、神様に対してもこんなんだろうなと
一緒に罪を背負うふたりです一蓮托生。