リチ

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3/4/2025, 10:20:12 AM

「約束だよ。」

なんて、何を約束したのだろうか。



DECO*27さん『妄想税』オマージュ

ある男は言う。
俺はイケメンだからあの子でもいいし、あの子でもいい。選べる権利がある。

だがまた別の男は言う。
僕はブサイクだからあの子でもいいし、あの子でもいい。女の子だったら誰でもいいのさ。

なんて、妥協にも色んな種類はある。

人間というのは妥協が大好きなのだ。

妥協・・・何かの物事を進めるにあたって、関係する双方の意見が食い違い、そのままではそれ以上の進展が望めそうもないときに、いずれか一方が自身の意見を取り下げたり、あるいは双方が互いに相手の意見を一部容認して、歩み寄りして、問題の打開を図ること。(Wikipediaより)

だけど、あなたはそれで満足ですか?

自分の意見を蔑ろにしているけれど…叶えたいとは思いませんか?

妄想税というものをご存知だろうか。妄想税を積むと叶えたい夢がなんでも叶う。そんな魔法の紙。


例えば、陸に恋い焦がれた愚かな人魚姫は尾びれを捨て、声を担保に足を手に入れた。

妄想税を払えば「あれしたい」「これしたい」という欲も全て思い通り。

汚い妄想は汚いお金で解決させれるんです。

おっと、興味がおありで?


そう!妄想税とは素敵なシステム!あなた方の為の愛しき制度、優しき義務化。

皆様の暮らしを豊かにするためのモノです。

…ですが、中にはNOと声を荒らげる馬鹿もいるのです。どこにでも堅物はいるものですね。


そう、馬鹿…こんな馬鹿もいる。

何事にも対価が必要だというのに、ルールを破り無償で欲を叶えようとする馬鹿。

叶わないよ、払わなきゃ。





「きみがねがうことも」

「きみがおもうひとも」

「きみがにくむかこも」

「おもいどおりだよ。」

「きみがほしいかおも」

「きみがほしいむねも」

「はらえばかなうので」

「約束だよ。」

なんて、何を約束したのだろうか。

対価の約束?それとも…

僕は、なんで…

押しよる群衆の声。

馬鹿共の遠吠え。

耳を劈く恨み言。

孕んだ怨念。

嗚呼…煩いな。



叶わないよ、払ったって!!!!


全部大嘘だよ!!!!!


こんなの、騙された方が馬鹿さ!!

どうも、39ました。もういいよ…もういいんだ!!

この紙切れは僕のもんだ!!

この妄想税という名がついたただの金。

そうさ、金を払ったってお前らが望む顔や胸は手に入らない。

ほんとに欲しいなら整形でも豊胸手術でも勝手にしてろ馬鹿が!!!!

過去は消えない、取り戻せない。




「××ってほんとにデブだよね」

「××ってノロマだし」

「××はブサイクだよね〜」


そんなの僕がいっちゃんわかっているさ!!!


努力して、手に入れたこの体!頭脳!!権力!!

お前らにはわからないだろう!?


金を払って解決出来ると思ってる馬鹿どもが!!


このなんの保証もない口約束を信用する馬鹿共め!!

「約束は、契約書を介しましょうね♡」

汚い妄想は汚いお金で解決させましょう。

3/1/2025, 11:11:37 AM

泣いてたら

何も言わずに

ただ手を差し伸べてくれた

なのに今は

嫌いなんて言われた

ネタ?ノリ?冗談?

ハハッ

あの時の君の温もりは

どこへ消えたんだろう

2/21/2025, 8:08:58 AM

いつも素っ気なくいちごミルクを飲んでいる。

かと思ったらオレンジジュース。

甘いものが好きなのかな?なんて思ったら、コーヒーを飲んでることもある。

飽きっぽくて気まぐれな子。

誰にも興味関心を持たないように見えて誰よりも人の感情を理解してる。

優柔不断に見えて芯が通ってる子。

そんな彼女が、ちょっと苦手だった。

私と、真逆の人間だから。




私のお父さんが弁護士でお母さんが小学校の先生。

だから、曲がったことが許せない。

だから、ルールを破る人は厳しく咎める。

私は当たり前のことをしてるだけ。

なのに、私は報われない。

でも人からの評価なんて気にしないの。

私は嫌われたって構わない。

強がってたのに、なあ。


昔から気が強くて、涙なんて見せなかった。


綾音ちゃん、だっけ。

いつも私の事見つめてくる。

バカにしてない顔。でも、好意的に見てる顔でもない。

無表情。

だけどある時、言われたの。


「ええっと、誰だっけ。…まあいいや、君は、何も間違ったこと、してないんじゃない?」

名前もまともに覚えられてる様子じゃなかった。

なのに、涙が止まらなくなった。

苦手だなんて言ってた時期が懐かしい。

そんな彼女に恋をした。

友愛だなんて一度も思ったことは無い。

彼氏もできたことない私が、恋をはっきり語るのは烏滸がましいけどこれは恋なんだ。

すとんと、胸に落ちた。


ひそかな想いだったけど、どんどん恋心は肥大化する。

油断したらポロッと好きの言葉を伝えそうだった。

だけど、同性愛なんて引かれちゃう。…ううん、綾音は引かない。だけど、困らせちゃう。

隠し通す、恋心。




なのにさ…

「好きな人には、はっきり好きって伝える。」

そんなこと言われたら、言いたくなっちゃうじゃん。




曲がったことが許せない。

ルールを破る人は厳しく咎める。

好きな人にははっきり好きって伝えるの。

「綾音、あのね──────」





私の名前は木村心。Googlepixelは別に使ってません。

なんてね。

2/15/2025, 1:48:55 PM

くらやみに

ひとりぼっち

さみしい

いたい

たすけて

くるしい

いたいの、いたい

つらい

しにたい

あいして
あいして
あいして

あいしてあいしてあいしてあいしてあいしてあいして

そんなときに

ぽつんと

きみのこえが

きこえた

だいじょうぶだよって

いわれた

ひとすじのひかり

ああ、あたたかい

けつえきがぎゃくりゅうする

のうがかっせいかする

なんだかなんでもできるきがする

きみがいると、ぼくはむてきなんだ



「あー、はいはい。やってますねコレ。はいお兄さん、袋出して?」

「すき、すき、すき…」

「うーわ、完全にやってんねー…目がイってるし…最近ドラッグ多くて困るんですよねー…はいお兄さん、署までおいでー?」

2/8/2025, 2:40:59 AM

誰も知らない秘密

それは、僕も例外なく?

僕も知らない秘密なんてあるのだろうか…

否、そんなことない。

僕が知らないことなんてない。

彼女のことで僕が知らないことなんてない。

隠させない。隠したとしても必ず特定する。

彼女の眉の角度、唇のカサつき、頬に垂れる冷や汗、全てを観察し判断する。

絶対に隠せることなどない。

なのに、なぜ…

※※※


ねえ、兄弟。なに焦ってんの。

あは、冷や汗垂らしちゃって。

え?「僕の彼女がいなくなった」?ふーん、あの子が?

なに?オレのこと疑ってんの?…なんてね。知ってるよ。アンタがオレのこと疑わないってのは。

オレにとってアンタは2分の1の存在。アンタにとってオレは2分の1の存在。2人合わせてやっと1になる。

そういうもんでしょ?双子って。

だから、アンタは絶対オレを疑わない。オレに絶対の信頼があるから。もちろん、オレもアンタの信頼を裏切る行為はしない。

話戻すね。んーっと、オレ名前覚えんの苦手なんだよね。じゃあ、kちゃんっておこうか。え?なんでkちゃんだって?知らね、気分。

アンタとkちゃんが最後にいたのはいつ?え?昨日の夜?ふーん、朝起きたら居なくなってたんだ。

てかそもそもkちゃんと付き合ってたっけ?あは、ごめんごめん。兄弟のことに対してもとことん興味ねーから。で、付き合ってたんだね?

アンタの執着がイヤになって逃げ出したんじゃね?「そんなはずない」って?ふーん、随分自信あんじゃん。余程kちゃんのこと信用してんだね。

それとも、信用できなすぎて過度な警戒していたか…。

え?なんか言ったかって?別に?何も言ってないって。それよりアンタは早くkちゃんのこと探したら?

…どうしたの?急に辺りを見渡したりして…「何故貴方がここにいるのです?」って?用があったからに決まってんじゃん。

「山になんの用事が?」って…あは、そんなにオレが山にいんのおかしい?確かにオレは山嫌いだよ?だって歩きづれーし虫はいっぱいいるし…まともな食材なんてねーじゃん。

あ?話そらすなって?そんなつもりじゃなかったんだけど。まあいいや。山に用事…それは、秘密♡

もー…そんな怒んなくてもいーじゃん。オレはお願いされただけだよ。誰に?って。そこは秘密。

オレだって隠し事はするよ?もちろん、kちゃんだってそうだろうね。

…そんなことないだなんてなんで確信持って言えんの?不思議。まるでアンタがkちゃんの全てを把握してるみたいだ。

ねえ、話は変わるけど。もしオレが人殺ししたら警察に通報する?

あは、他意はないよ。それに、オレ人殺してねーし。人殺しなんてするだけ面倒じゃん。相手が嫌なら殺すよりも死にそうなほど痛みつけて結局殺さないほうがいいじゃんね。

さっきからアンタがチロチロ疑ってくるからオレ胸が痛くて痛くて…アンタからの信頼を確かめたかっただけ。ね?だから答えて。

…ふーん、「面白そうなので全力で隠蔽します」…あは、おもしろ。ここで「大切な兄弟なので隠します」なんて言われたら鳥肌モノだったよ。

じゃあ兄弟。ブルーシートをバサっと捲ったら…

アンタのだぁいすきなkちゃんが発見されました〜

いて…ちょ、押すなって。オレよりもkちゃんの心配?ひでーな。オレら双子じゃね?

…いくら呼びかけたって無駄だよ?だってkちゃん、息してねーし。

い゛っっっ…は?なんで殴るの?


※※※

「いくらなんでも貴方だとはいえ許しません…絶対に息の根を止めてやる…」

「やだなぁ、アンタの目にはオレが倫理観の欠如した殺人鬼にでも見えてんの?」

「貴方は元々倫理観が欠如してましたけど…」

「ねえ、アンタもしかして楽しんでない?」

「まさか。大事な彼女が大事な双子に殺されて葛藤の末貴方を殺すことに決めました。」

「やば。オレ即切り捨てられてんじゃん。葛藤じゃなくて即決じゃね?てか落ち着いてよ〜オレは人殺しなんてしないって言ったじゃん?」

「どうせ救っただけだよとか屁理屈を述べるのでしょう?」

「なに?アンタにはオレがカミサマ信じてるやつに見えるわけ?冗談じゃないよ。人は死んだら灰になるだけ。そこに救いの余地なんてないよ。」

「おや、貴方にしては随分現実を見ていますね。」

「何言ってんの。オレは常日頃リアリストだよ。ロマンチックに浸ってる暇なんてないの。だからオレはkちゃんが死んだことになんも関係してねーの。」

「貴方が嘘をつくなんて考えにくいですね」

「だろ?だってオレ、今の今までなーんも嘘ついてねーもん。あー、でも強いて言うなら…アンタとkちゃんが付き合ってんのは知ってたよ?」

「………まさか、」

「察すんの早。そうだよ。オレは生前のkちゃんから相談を受けてた。ううん、違う。依頼かな?」

「…僕の知らない、秘密」

「kちゃん隠すの上手いよ。知ってる?kちゃんキノコ嫌いなんだよ」

「は?そんなわけ…いつも美味しそうに微笑んで…」

「ね〜。オレもびっくりした。」

「…彼女が…僕に隠してまで依頼したことって…なんですか」

「野暮だなぁ。まあ教えてあげるけど…」


『私をあの人が追ってこないような場所へ連れて行って』

※※※

「kちゃんは既に血まみれだった。オレが手を下さなくても死んでたよ。手首から血出てたってことは…切ったんじゃ?」

所謂リストカット…自殺行為をするほど彼女の心身は疲労していた。

「何故…僕を拒絶して…」

「…アンタじゃねーよ。…アンタの執着心は気持ち悪いほどだった。だけど、アンタのこと…kちゃんは愛してたよ。」

「何故貴方にそれが言えるのです!?それに、愛していたなら尚更何故…!」

泣き落としなどお手の物な兄弟が、涙を流しながら無様に地面に這いつくばっている。美しい透明な涙は山の土と混ざり、濁る。

「…kちゃん、死んじゃうんだって」

「…え」

か細い声。

「死ぬって…そんな、彼女は、そんな素振り一度も…」

「言ったじゃん。kちゃん隠すの上手いって。なんだっけ、エーット…た、たん?かん、?あっ、そうそう。がん。」

「がん!?何故!?彼女はまだ16ですよ!?」

「人間って不思議だね。がんに年齢は関係ないらしいね。知らんけど。」

余りにも他人事な兄弟に腹が立つ。胸ぐらを掴んで睨みつける。

「…なんだよ、その目…オレだって…オレだって!つれーに決まってんじゃん!!!!」

そんな兄弟を振り飛ばす。

「可愛くて仕方なかった!アンタになら譲ってもいいと思ってたし、最近では義妹になるって思っててなおさら可愛がってやろうと思ってた!!…だから、義兄として、お願い…聞いてやったの…」

先程まで胡散臭く笑みを貼り付けていた兄弟が、子供のように大泣きしている。両者土まみれになってわんわん涙を流している。

「オレは、アンタが追ってこないような場所に連れてかなきゃなんなかった。そんな場所、検討も付かなかった。…いいや、違うんだよ。きっとあの子の願いは…」

『私が死んでも、あの人が追ってこないように引き止めてね』

※※※

「そんな、なんで…なんで…」

死者に答えを求める愚かな兄弟。
それを眺めて悔しそうに拳を握りしめる兄弟。

「ねえ…どうすんの?」

すでに冷たくなっている彼女を抱きしめ涙を流す兄弟に聞きかける。兄弟はぐすんと鼻を鳴らす。

「…誰にも渡したくありません。彼女が腐り落ちようと、ハエが寄ろうと、皮膚がとけようと、骨だけになろうと…その骨だって崩れ落ちようと…絶対に、離しません。」

ぎゅっと力が篭もる。だけど、それは壊れ物を扱うような抱擁。

「じゃあ、オレとアンタの秘密だね。」

小指を差し出す兄弟。それを見て目を見開く。

「誰も知らない、オレと、アンタだけの秘密。」

自然と小指を絡ませる。世界が二人だけ…否、三人だけになったようだ。

世界が僕らを拒んでも、僕には貴方たちが居る気がした。

秘密なんて溜まったものじゃなかった。

「少しくらい秘密を、僕に分けてくれたってよかったんですけどね…」

彼女の病気をもっと早く知れてたら、二人で共有できていたら…

もし、彼女が生きることを望まなくとも…せめて最期だけは居られたのだろうか。

過去に縋っていたってしょうがない。だから、どうか、今だけは…

「秘密も案外悪くないですね」

小指の温もりを確かめるように、僕は土をはらった。

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