Mo.

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4/21/2024, 10:01:07 AM

美味しそうに頬張る彼女の姿を見ていると、微笑ましい気持ちになる。口元のソースを拭き取るついでに口付けてみれば、彼女はあっという間に頬を染めた。

迷いの多い人生だが、彼女を守りたいという気持ちは確かにある。



守るための剣
「何もいらない」

4/17/2024, 11:35:58 AM

桜の雨が降る。
払うこともせずただ歩き続ければ、体中桜まみれになっていた。

「桜染めですか?」
「いや、面倒なだけ」
「そうでしたか」

適当に腰掛ければ、蜻蛉切が手を止め隣に来た。
結うには短く、梳くにも半端な長さだが、彼には関係ないらしい。

「髪も綺麗だ……黒に薄紅がよく映えますな」
「そう?」
「しかし、掃除するのも大変ですから、ここで梳いておきましょう」

櫛を片手に楽しそうにしている。彼が私に危害を加えることはないから、好きにさせていた。
絡まることもなく通り抜ける感覚。服についた分も落としてもらった。

「主、終わりました」
「ありがと」

いつもの武人らしい顔つきとは違い、穏やかな顔をしていた。

「……じっとしてて」

もみあげに紛れ込んだ花びらを摘む。
突然のことに彼の頬は熱に染まっていた。
目を合わせまいと必死に取り繕う姿が珍しくて、口角が上がった。

「蜻蛉切、大丈夫?」
「は、はい……まさか、主から触れられるとは思わず」

触れられた部分が今更になって熱くなる。
暦の上では春は終わるというが、ここだけは始まる予感がする。

「桜散る」

4/17/2024, 10:00:11 AM

パチパチと薪の燃える音に、足音が混じる。
ヘラグは読んでいた本に栞を挟んで顔を上げた。
盛んな湯気と、甘い香りに目を細める。

「ありがとう」

ベスタから差し出されたホットミルクを受け取る。
はちみつの優しい甘みは、行き詰まった思考をゆっくりとほぐしていく。

「満足していただけて良かったです」

このささやかな幸せはいつまで続くのだろうか。
それはわからない。けれども、少しでも長く続いてほしいから、ヘラグは今日も戦争と向き合う。


「夢見る心」4/17