僕は草の上には寝転がれない
だからアスファルトか砂浜に寝転ぶ
アスファルトはたいてい暖かい
砂浜はその時々で違う
あったかい時も冷たい時もある
寝転がると空しか見えない
流れる雲はどこへ行くのか
南風に吹かれたら北の方へ
西風に吹かれたら東の方へ
雲の行先はいつも風が決める
風に抗うと雲は消滅する
そこには青空しか残らない
新たな風が吹いて
また新たな雲がやってくる
今度はどこへ向かうのか
みんなどこへ行くのか
風に乗れるものは
海を渡って、どこへいくのか
異国の砂漠を抜けて
世界の先端をも超えて
宇宙の入り口から
誰にも解らないところまで
そんなに遠くへ行ったとして
君は君でいられるのか
僕のことを覚えていられるのか
もっと手前でいいんじゃないのか
房総半島の海岸はきれいだ
ひとけのない砂浜には
あらゆるものが落ちている
君のよく知っているものも
初めて見るものも
宇宙の欠片だってあるかもしれない
それでも君は遠くを目指す
君は風に乗れる者だから
例え僕のことを忘れてしまっても
風が吹いたら行ってしまう
君と僕との距離は
これくらいがいいと思ってる
君もそうだと思ってる
じゃなければ君は僕に
何かを伝えてくるはずだ
もっと近づこうとか
もっと離れようとか
そんな類いの言葉を
週末あたりに投げかけてくる
今週末もそんな言葉はなかった
だからこれぐらいが
いいと思ってる
無色の世界
ここではないどこかに
何かがあると思ってる
そこに行けば君がいて
絶えず僕に微笑んでくれる
必要なものは全て揃ってるし
窓から見える景色はずっと美しい
だから何も心配いらない
ここではないどこかのお話し
つまりは夢だよ
目覚めなくても分かってる
これは夢だよ
君は夢だ
しずかな雨で幕を開けた
この朝を授けたのは誰
見えないものは全部
神様の仕業
雑音を吸い込んで
静寂を吐き出す
この雨を降らせる術を
知る人はそうはいない
だからおそらく
彼は神様のひとり