道草

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3/12/2023, 4:15:54 AM

日常の迷路に迷い込んだら
そこは間違い探しの世界だった
何もかもがほんの少しだけ
掛け違っているから
ひとつを正しいと思われる位置に直すと
連動して他のものの位置も
全部変わってしまう
だから本当に一歩ずつしか進めなくて
それすら出来ない日もあって
もう今日は休みだねって寝転んだら
水色の空だけが見えた
雲がぽっかりと浮かんでいて
その隙間を鳥が滑るように飛んでいて
なんでそっちはそんなに平穏なんだって聞いたら
笑ってくれたよ、春。

2/27/2023, 10:06:19 AM

読み進める小説の
主人公と同化していく
きみは今どこにいる
太陽の動きに合わせて
東の方から西の方へ
当てもなく歩く景色は
永遠に明るい
その強い日差しを受けて
眩しそうに目を細めてる
きみは今どこにいる


(君は今、現実逃避)

2/26/2023, 7:18:15 AM

ゆっくりでいいんだよ、と
君は言ってくれる
だけどこの時間軸を生きているのは
きっと僕だけだ
みんな別の軸の上にいる
もっと急がなければ
君に追いつけない
だから焦るんだ
とっても焦ってる


(物憂げな空)

2/23/2023, 1:59:15 AM

畳の匂いが好きだった
使い込まれて黒光りしてる床板も好きだった
大きな掛け時計が一秒一秒を大袈裟に刻んで
たまに重めの音で時を知らせた
開け放たれたサッシから
夏の風は入ってくる
軒先の風鈴をチリンと鳴らして入ってきて
同じく開け放たれた勝手口のドアから
レースののれんを揺らして出ていった
また来るねとも言わずに

(夏の記憶)

2/19/2023, 5:49:23 AM

壊れたものは元には戻らないから
壊さないよにするのがいちばんだけど
それは不可能なことだ
何年も生きてみて
そんな答えしか出てこない

冬の終わりに絶望的なことを考えて
春に救ってもらおうとしてる
姑息なやり方でも花が咲けば
それでもいいと思ってる
僕の心は醜かった

君はずっと花だったよ
水色の花びらで息をしていた
哀しみを吸い込んでも哀しみにしかならない
だから喜びだけを吸い込めばいいって
そう言ってた


(今日にさよなら)


 

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